虚偽で行われたイラク攻撃

渡辺 久義京都大学名誉教授 渡辺 久義

9・11等に探求サイト

公式説明を疑わない日本人

 少し前の話だが、JR福知山線事故の被害者遺族と会社側が、糾弾と弁明といったスタンスでなく、両者共同で事実を正確に知ろうという会合が行われたという、やや気持ちを明るくするニュースがあった。こういう事故の遺族というものは、ただ怒り責任者を責めるのでなく、なぜ自分の身内が巻き込まれて死なねばならなかったのか、その原因となった事実を正確に知りたいという気持ちになるものらしい。

 韓国のセウォル号事故でも、犠牲者のある父親が、やはり、そこに至る原因連鎖を突き止めようと、まるで野外調査をやる科学者のように、正確な船の構造から聞き込み事実に至るまで、詳細なデータを集めている人のことが、NHKテレビで紹介されていた。これはメディアがやらないから、自分でやらざるを得ないのである。

 14年前の9・11テロについても同じである。アメリカでは、3人に2人が、これについての政府の説明を信じていないと言われるが、日本では私の経験する限り、圧倒的多数が公式説明を疑っていないようだ。日米間には安保条約があるのだから、アメリカの暗黒面を知ってはならない、知らなくてよい、ということにはならない。

 この主流メディアが決して口にしない、隠ぺいされたウソを根拠にして、そこからその後のすべての悲劇が起こったことを忘れてはならない。まずイラクが大量破壊兵器をもっているという虚報を根拠に攻撃され、メディアがほとんど真実を報道しない、罪のない一般市民の大量虐殺が、世界各地で起こっている。これはもし報道されたら、ほとんど誰もが表へ飛び出して「やめろ!」と叫びたくなるだろう。メディアが報道しないなら、我々は、韓国の父親のように、なぜこういう理不尽なことが起こっているのか納得できるまで、自分で調べる努力をすべきだろう。

 そんな手立てはどこにあるか? それは今のところインターネットしかない。私がほとんど毎日あけて見る英語のサイトが四つばかりあり、その一つGlobal Researchは、9・11に関する疑惑を動機として始まり、毎日、更新されている。その記事の一つに、「9・11の真相を糺(ただ)すのもテロですか?--キャメロン英首相国連演説に対する公開質問状」(2014・11・5掲載、創造デザイン学会)というショッキングなものがあるのでご覧いただきたい。

 これは、キャメロン英首相が国連総会で、社会にとって深刻な脅威となる「非暴力過激派」がおり、そこには9・11の公的説明を疑う者も含まれる、こういう輩はテロリストと同じだから、取り締まらねばならない、ネットサイトは検閲しなければならない、と言ったのに対し、ある市民が驚きあきれて英首相本人に宛てた公開質問状である。

 「これは私には全く信じられないものです。…世界中の膨大な数の、十分に信用でき、かつ専門的な人々が現在、9・11という事件が組織的に隠ぺいされ、一般大衆がこの問題について、全く信じられないほどに騙(だま)され操作されてきたことを示す、反論の余地のない事実と証拠を持ち出しています。一般大衆が、イラクの“大量破壊兵器”について騙され操作されていたのも同じです」

 言われる通り、インターネットは、物理的にこういうことは起こり得ないと主張する学者をはじめ、あらゆる方向から疑問を提出する動画サイトに、満ちあふれている。

 特に、世界貿易センターのツインビルの他に、もう一つ「ビルディング7」という同時に“攻撃された”ビルがあり、その崩壊のビデオがネット上にあふれているが、これは誰が見ても、優秀な専門の解体業者の仕事である。これが今、ニューヨークの広場の巨大なスクリーンに毎日、映されているらしく、質問者はキャメロンに「あなたはその事実を知っているか」と訊(たず)ねている。

 質問者はさらに、あなたの論法でいけば、この事件の調査に良心的に、ただ真実のために取り組んで、政府説明に矛盾する証拠を提出した人たちも、命を賭して救助に飛び込んだ人々も、犠牲者の数知れない遺族も、すべてテロリストということになるが、いかがですか、と訊ねている。犠牲者の遺族は、冒頭でふれた日本と韓国の遺族のように、誰よりも熱心に真相を求めただろうと推測される。だからキャメロンからみれば、最も危険な反社会テロリストである。

 これは恐ろしく、言語道断の話のようだが、我々は現在こういう世界に住んでいる。キャメロンが特別のことを言っているのではない。彼の言っていることは要するに、ファッシズム宣言であって、“お上”に逆らう者は誰であろうとしょっ引くぞ、ということである。“お上”とは、アメリカを根城とする、トップの見えない権力階層エリートであるが、現在それは、米英-NATO-イスラエル-サウジという軸をなしていると考えられる。9・11については、14年9月14日掲載「9・11リーダー(序文)」など、いくつかの関連記事を併せ読んでいただきたい。

(敬称略)

(わたなべ・ひさよし)