運河で釣り三昧


地球だより

 ベトナムの商都ホーチミン市内を流れる運河での釣りは基本的に禁止されている。だから運河のあちこちに釣り禁止の看板がある。

 だが警察が取り締まりのパトロールをしたり、罰金徴収を科すことがないため、市民は釣り禁止の看板を尻目に静かに竿(さお)を運河に垂らす光景が日常茶飯と化している。

 わけても人気の高いのが市街地を流れるニエウロック・ティゲー運河やタウフー・ベンゲー運河で、早朝から夜の帳(とばり)が降りるまで数百人もの人々が川沿いで釣りに興じている。

 自治体やボランティア団体は、運河に魚を戻すべく活動していて、稚魚だけでなく成魚前の魚も放流しているが、だいたい放流する先から大公房たちがどこ吹く風で水面に糸を垂れ、釣り上げては胃袋に納めているのが実態だ。

 慣れた人に至っては、釣った魚を自分で調理するだけでなく、大漁時など通りすがりの通行人に魚を売り付けるという離れ業をやってのける人も出ている。川魚というと日本人は匂いを嫌ったりしがちだが、白身のナマズなど意外とあっさりしていてうまいのだ。

 ただ通行人の服に釣り針を引っ掛けたりとトラブルも少なくないため、厳しい取り締まりを求める市民も少なくない。

(T)