小学生からの薬物防止教育
大型連休が明けるころに、進学や就職で環境が大きく変わって心身のバランスを崩す若者が多くみられるようになる。いわゆる「五月病」だ。このほかに、この時期には薬物乱用、登校拒否なども増える。
薬物乱用や登校拒否も精神的なストレスと深く関わっているから当然だろ。ただ、薬物乱用の場合、ストレスとは逆に、受験勉強から解放されて起きる気の緩み、心の隙が原因となることも多い。危険ドラッグになると、軽い好奇心から手を出すケースが指摘されている。
そうなると、若者のストレス対策だけでは薬物乱用者は減らず、防止教育が大切になってくる。「日本薬物対策協会」(サイエントロジー教会支援)が最近公表した調査結果は、大人が考えるよりも早期から乱用防止教育を行う必要があることを示している。
同協会が昨年10月から今年3月にかけて、東京都内と埼玉県内の小学高学年約460人を対象に行った意識調査によると、約9割が危険ドラッグや覚醒(かくせい)剤を知っていると回答した。そのほとんどはテレビ・新聞を通じて得た知識だった。子供たちがいかにメディアの影響を受けやすいかが分かる。
中でも、驚かされるのは、危険ドラッグの乱用について「個人の問題、判断は自由」と答えた児童が7・2%もいたことだ。これもメディアの影響だろう。
同協会世話役の馬崎奈央さんは「誤った情報が子供たちの耳に入る前に、正しい情報をしっかり教育で伝えていくこと、そして薬物は個人だけでなく、家族や社会全体を破壊していくものであるという認識をもたらしていくことが大切」と語り、小学生からの乱用防止教育の必要性を訴える。正しい情報が先に入るのか、それとも間違った情報が先になるのか。それによって、大型連休明けに薬物に手を染める若者の数が違ってくる。(森)