消火妨げるマニラの狭い路地
地球だより
このところマニラ首都圏で火事が相次いでいる。特にスラムのような住宅密集地での火災が多く、数百の家屋が一度に焼失することも珍しくない。改めて都市計画や火災対策の未熟さを実感する。
記者が住んでいるマンションの目と鼻の先でも、最近火災があったばかりだ。場所はバラック小屋のような家屋が密集する住宅地の一角で、出火初期から見ていたが、火が見る見るうちに燃え広がる。かなり離れているのに熱気を感じるほどの火の手だ。
かなり早い段階で消防隊が駆け付けていたが、周辺の狭い路地に加え、現場のすぐ近くを水路が横切っており、消防車がまったく近づけない状態。消防隊員がホースを伸ばして必死に消火を試みるが、火の手にまったく対抗できない水量で、最初から明らかに絶望的な感じだった。
火は燃え広がり放題で、プロパンガスと思われる爆発が何度かあり、やじ馬からどよめき声が上がる。結局、火事はその区画をほとんど全焼させ、燃えるものが尽きて鎮火したような感じだった。首都圏はどこもこんな道路事情の場所が多く、いくら立派な消防車があっても、役に立たないことが多いらしい。出火原因は分からないが、今の季節はほとんど雨が降らず空気も乾燥していたので、燃え広がりが速かったのかもしれない
自分の家が燃えていくのを茫然(ぼうぜん)と見守るしかない庶民たちの姿を目の当たりにし、この国の厳しい現実を垣間見た気がした。
(F)