パリとソウル


韓国紙セゲイルボ・コラム「説往説来」

 フランスのパリは世界的な観光名所だ。ランドマークのエッフェル塔をはじめ、コンコルド広場、凱旋(がいせん)門、シャンゼリゼ通り、ノートルダム大聖堂、ルーブル美術館、オルセー美術館、モンマルトルの丘など、名所がずらりと並んでいる。米国の映画監督ウディ・アレン氏はロマンチック・コメディー「ミッドナイト・イン・パリ」を通じてパリを幻想的に描き上げた。映画を観(み)た人ならばパリを愛さざるを得なくなるように…。この映画に騙(だま)されて(?)パリを訪れた人も少なくない。アレン監督は「愛と死」、「世界中がアイ・ラヴ・ユー」でもパリを背景に入れた。

 1991年以降、パリに名所が一つ追加された。セーヌ川に架かるパリ最古の橋ポンヌフだ。レオス・カラックス監督の映画「ポンヌフの恋人」が成功して、セーヌ川の静かな人道橋ポンヌフは一躍、世界的な名所になった。だが紆余(うよ)曲折も多かった。交通を統制しなければならない橋の上の撮影をパリ市が許可しなかったためだ。結局、ポンヌフの場面はフランス南部にセットを造って撮影した。映画の中のパリは悪臭漂う路地裏が中心だが、観客は美しいポンヌフだけ記憶して、ひっきりなしに訪ねている。

 ソウル市は最近、ハリウッドのブラックバスター映画「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」のソウルでの撮影日程を公開した。麻浦大橋(マポテギョ)・清潭大橋(チョンダムテギョ)、セビッドゥンドゥン島、上岩洞(サンアムドン)DMC先端産業センター、トゥクソム公園、江南(カンナム)駅交差点、テヘラン路などが含まれている。戦闘、爆破、飛行場面などを撮影する予定だという。経費の一部も支援する。論争がなくはないが、デモ、催涙弾、南北対立など否定的に刷り込まれた韓国のイメージを新しくする契機になればと思う。

 わが国はかつてウディ・アレン監督に韓国版の「ミッドナイト・イン・ソウル」の制作を要請したが、いまだに返事がない。場所の広報効果が映画に匹敵するものはあまりない。カナダのケベックや北欧のアイスランドは年間数百本の映画のロケを誘致して莫大な国富を生み出している。全羅北道の群山(クンサン)市は「タチャ いかさま師」など映画70本の背景になり、撮影の名所として生まれ変わろうとしている。昨日、あるラジオのパーソナリティーが「交通を統制してまで撮影地を提供するのは国の品格の問題」と憂慮したが、それは杞憂(きゆう)だ。

(3月22日付)