国民の前で活発な政策論争をー政治評論家 田村重信氏
菅義偉首相は自民党総裁選で再選しようと思ってやっていたが、最終的には勝ち目がないこともあって辞めることを決断したのだろう。いろいろ実績もあるが、再選するための手順が少し強引なところがあった。それからやはり、昨夜、地元の神奈川県連で(総裁選で)菅氏を支持しないという声が出てきたのが大きい。
総裁選には、岸田文雄氏をはじめ多くの人が意欲を示している。たくさんの候補が出て、国民の前で活発な政策論争を繰り広げることは、自民党にとっても国民にとってもいいことだ。日本に民主主義が根付いていると世界にアピールできる。
次期首相は、短期的には今のコロナ感染防止にきちんと対応できることが第一。国内的には、少子化や格差の問題への対策、また、経済力をいかに高めるかが大きな課題だ。対外的には、米国との同盟関係を強化しながら中国や近隣諸国とどういうふうに関係を深めていくか。アフガニスタンからの邦人退避など、緊急時に日本の影響力をどう発揮していくか。そういう難しい問題に対処できるリーダーが必要だ。
20人の国会議員の推薦人を集めて立候補する人たちは、それなりの見識と能力を持っている。ただ、衆院選の顔になるという意味では、選挙に勝てる人を選ぶことになる。今回は党員・党友票の比重が大きいわけで、それは全国民の考え方に似通っている。そういう意味で、世論調査で支持率の高い人が極めて有利になるだろう。