ユダヤ教徒の苦労ーイスラエルから


地球だより

 イスラエルでは3月27日の日没から4月3日の日没まで、ユダヤ教徒たちが「過ぎ越し祭」(ペサハ)を祝った。

 昨年のペサハは、イスラエルで初めてロックダウン(都市封鎖)があり、親族や友人が集まることができなかったが、今年は皆が集まって祝うことができたので、ユダヤ教徒の友人たちは喜んでいた。

 ユダヤ教徒はペサハの期間、イスラエル民族が出エジプト時に、パン種が発酵するのを待つ時間の余裕がなかったため、種を入れないパンを焼いて食べたとされることから、マッツァと呼ばれるクラッカーのようなものを食べる。

 ユダヤ教徒はペサハの前日、家中を掃除して、小麦粉などパン種と見なされる類いの物を完全に排除する。敬虔(けいけん)なユダヤ教徒は、パンくずや粉も見逃さず徹底している。

 今年、ペサハの前日は安息日(土曜日)で、敬虔なユダヤ教徒の友人はとても苦労したのだという。労働と見なされる行為は禁じられるため、掃除や調理などはできない。安息日にはパンを食べる決まりもある。

 友人は前々日までに、家中の全ての掃除やセデル(出エジプトを偲〈しの〉ぶ儀式の食事)の準備を終わらせ、パンを食べ切れる分だけ残した。

 テーブルの上にビニールシートを敷き、安息日に家族でパンを分けて食べ、終わったらパンくずがこぼれないようシートごと丸めて外に捨てたという。

 こうして無事、ペサハを祝うことができ、昨年の分まで、賑(にぎ)やかに歌ったりゲームしたりして夜を過ごしたそうだ。

(M)