女性のお祭り「ティージ」ーネパールから


地球だより

 先日8月21日は、ネパールの暦で女性のお祭りである「ティージ」だった。ティージにおいては、未婚女性は、将来良い伴侶を得ることを、既婚女性は、夫や子供の健康や長寿を願い祈祷(きとう)するお祭りである。

 ティージの当日は、「バルタ」と呼ばれる断食をする。最近は完全に実施する人は減ってきているようであるが、中には唾も飲み込まないストイックな女性もいるようである。断食をするため、女性たちは前日に実家に帰って母親や姉妹と集まり、皆でご馳走を食べる「ダル・カネ」を行う。断食に備えての食いだめ、とも言える。ちなみに祈祷を実施した後は、女性たちは赤色の民族衣装をまとい、寺院前などで断食中とは思えないほどひたすら踊り続ける。

 なお、この祭りの締めくくりは、最終日の「リシ・パンチャミ」。リシ・パンチャミにおいては、ダテュンと呼ばれる木の葉で身を清めるとともに、その枝を365本に小さく折ってその1本ずつで歯を清めるが、このことを通して、一年間の厄を落とすという意味を持っている。

 女性のお祭りではあるが、願うことは夫や子供のことということにもなる。ただ、今年は、新型コロナウイルス感染の影響で出店や大勢集まってのお祭りは自粛されたものの、彼女たちがより家族の安寧を祈ったことは言うまでもない。

(T)