蛇の神様に祈るお祭り-ネパールから
地球だより
25日は、蛇の神様のお祭りである「ナーグパンチャミ」だった。ヒンズー教でナーガは蛇神を意味する言葉だ。ネパール全土で、この先1年の家内安全・無病息災を祈願した。今年、特にコロナ事態の早期収束を祈願したことは言うまでもない。
この祭りでは、早朝に門柱や玄関の扉に蛇神を描いた絵を張り付け、お祈り(プジャ)をするのだが、この時に絵を張るために使うのりが、何とネパール語で「ゴバル」と呼ばれる(神聖な糞(ふん)であるとされる)雌牛の糞である…。
ちなみにネパールやインドなどヒンズー教徒の間では、蛇は悪い気を吸い込み、良い気を吐き出すと考えられており、運の良い非常に大切な生き物とされている。
西洋などの聖書から見れば、蛇は舌の先が二つに分かれていることから二枚舌という意味で、よこしまで嘘(うそ)つきといった悪者のように言われることもある。そうでなくても怖くて嫌う人は多いだろう。
このように、生き物はその存在を通して地域や民族、あるいは人それぞれにさまざまなことを考えさせてくれるものだと思う。ただ、蛇の方も容貌はいろいろだ。ヒンズー教の蛇神はキングコブラ、キリストが悪魔に例えたのはマムシだ。確かに、コブラの首の広がりには威容を感じさせるものがある。ともあれナーガは賢く、人々の願いを叶(かな)える運の良い蛇だ。たくさんの出来事に真実を見極める視点を磨きたいとも祈りに添えた「ナーグパンチャミ」の一日であった。
(T)