ステイホームで喜ばれぬ夫、高まる妻のストレス
コロナ感染がまだ「夜の街」中心だった頃、中学時代の同級生(女性、東京在住)から電話が入った。お盆の帰省シーズンに、気心の知れた同級生たちが集まるのが恒例になっているが、「今年はどうしたものか」との相談だった。感染拡大で帰省することさえ危ぶまれるのだから今年は「中止だな」と話したその電話でこんなやりとりがあった。
「感染リスクが高いのに、ホストクラブに行く女性の気持ちが分からない」という私に、「何言ってんのよ、だから男はダメなのよ!」という説教が返ってきた。ステイホームで夫が家にいる時間が長くなれば、その分、妻のストレスが高まる。そのストレス発散で、ホストクラブ通いが増えるのだとか。
「風が吹けば桶屋(おけや)が儲(もう)かる」の類いの話だな、と苦笑したが、7月初め、彼女の分析があながち的外れでないことを示す調査結果が出た。明治安田生命が0~6歳までの子供がいる既婚男女を対象にステイホーム中の子育てに関して行った意識調査だ。
それによると、ステイホームによって「積極的に子供の面倒を見るようになった」など、夫の7割は子育てに良い影響が出ていると回答した。ところが、妻は違った。その4割は「配偶者の育児にイライラすることが多くなった」など、子育てにストレスを高めたという。
また、テレワークを実施した世帯全体では、9割が今後もテレワークを行いたいと回答している。子育てと仕事の両立が図りやすいからだという。しかし、テレワークを行った夫を持つ専業主婦の4人に1人は夫のテレワークを望まないという。「夫がずっと家にいることで家庭不和になり、子供に悪影響が出た」などが理由だ。
「亭主、元気で留守がいい」と、陰口をたたかれてきたサラリーマン。定年になれば、毎日がステイホームだ。コロナ禍は家にいて妻に喜ばれる夫かどうかを自己評価するチャンスである。
(森)