エネルギーが伝わってくる作品1200点が揃う
秋田市文化会館で「第60回秋田県児童生徒美術展」開催
秋田県内の幼・保・小・中学校の授業などで作成された入賞作品約1200点を集めた第60回秋田県児童生徒美術展がこのほど、秋田市文化会館で開かれた。平面、立体、具象、抽象画とさまざまだが、「画面いっぱいにのびのびと描かれた作品ばかりで、子供たちのエネルギーが伝わってきた」「新しい描画材や素材を用いて、画面構成に工夫の見られる作品が多かった」との審査員の総評が全体を網羅している。(伊藤志郎)
新しい描画材や素材を用い、画面いっぱいにのびのびと
主催は秋田県教育研究会造形部会のほか、県と市の教育委員会が後援。「夢、希望、生きる力に結びつく、創造性豊かで、つくる喜び、活力の感じられる作品」を主体に出品されている。児童生徒と共に父母など家族連れも多く、交流の場ともなった。父親が樹木の作品を見て「なかなかこういう見詰め方はできない。表現方法もすごい」と子供に話している光景もあった。
特に注目を集めた「話題作」の一つが本荘東中学校3年岡本さんの「私だから」。ソフトボールをしたグラウンドと校舎、広げた両手を背景に、学校生活を謳歌(おうか)した青春を淡い色調で描いた。スカートの揺れに、爽やかな風を感じる。
阿仁中学校1年西根君の「心に残された強い悲しみ」は、青と緑の背景に黒を線状に散らした抽象画。大館国際情報学院中学校3年の渡辺さんは無人の階段を細密に描写するなど、中学生は全般に丁寧な作品が多い。
授業から生まれた作品だけに、新しい描画材や素材、版画などさまざまな技法を駆使した作品も多い。色鮮やかだったのは、岩谷小学校5年・藤井さんの「雨にうかぶ花々とかげ」。絵の具を染み込ませた布や型を押し付け転がしたり、四角や円の模様を配置するなどセンスあふれる作品に仕上げた。上小阿仁小学校5年・萩野さんの水彩画は、かわいいメダカにエサやりする大きな自画像が爽やかだ。
樹木はしばしば題材に取り上げられるが、大住小学校4年石井さんの「秋のカーニバル」は、風に吹かれながら生命を燃えたぎらせている巨木の姿が感じられた。
楽しい作品の一つが、羽後明成小学校3年沓澤さんの「動物たちと月夜の旅」。アニメ映画「となりのトトロ」に出てくるネコバス風の乗り物に少女や動物たちが仲良く乗り込んでいる様子を、淡い墨流しの技法や貼り絵も組み合わせており、今にも動きだしそう。
また、身近な材料を用いた立体作品も多く見られた。「自分の作品が飾られる喜び、他の作品から新たなインスピレーションを得る喜び、表現の多様性、楽しさなどを改めて感じる機会になったことと思います」と担当者は語る。






