ゴーン被告、「自画自賛のショー」「怒りをぶちまけた」
記者会見で仏メディア
日本から保釈中に国外逃亡したゴーン被告(65)が9日、レバノン・ベイルートで行った記者会見の様子を仏メディアは一斉に報じた。仏国際ニュース専門チャンネルのフランス24は「ゴーンのショーだった」とのSNSの投稿を紹介した。
仏国営TVフランス2は現地ベイルートに派遣された記者が、「ゴーン被告は驚くほど元気で、まるで会見前にライオンの肉を食べたかのようだった」「まるで株主総会の報告会のようだった」と報じ、「全体として自画自賛の会見だった」と締めくくった。
記者会見では日本のメディアは大半が入場制限された一方、複数の仏メディアは、政治家などの著名人が利用することで知られる仏広報会社「イメージ7」が会見を取り仕切り、ゴーン被告の主張を世界に拡散する戦略からメディアは厳選されたと伝えた。中でもフランス24は、フランス語、英語、アラブ語で報道が行われていることから、ゴーン被告は三つの言語を駆使してインタビューに丁寧に答えた。
仏メディアは総じて、ショーマンとしてのゴーン被告の能力にポジティブな評価を下した一方、同被告逮捕から取材を行っている仏経済紙レ・ゼコーは「手負いのトラが檻(おり)から出て初めて人前に姿を現し、逮捕以来たまっていた怒りを2時間半にわたってぶちまけた」と伝えた。
一方、会見を見たフランス人の中には「彼は、まるで全ての問題は金で解決できると思い込み、法を超えた存在のように振る舞った。法の下の平等を信じる多くのフランス人はあり得ない態度と思っただろう」(大手仏コンサルタント会社部長)などの声も聞かれた。
(パリ 安倍雅信)