トランプ氏が大統領令、送電網へのサイバー攻撃に対応

ビル・ガーツ

 トランプ米大統領は11日、送電網へのサイバー攻撃に備えるよう政府に命じる大統領令に署名した。米軍幹部が、米国の重要インフラがサイバー攻撃に対して脆弱(ぜいじゃく)と証言したことを受けた措置で、サイバー攻撃による長期的な停電への対策を検討することを求めている。

 大統領令は、政府と民間部門のサイバーセキュリティー改善のための政策見直しを受けたもの。送電網へのサイバー攻撃に関する報告を8月9日までにホワイトハウスに提出することを、エネルギー省、国土安全保障省、国家情報長官、州・地方政府に求めている。

 これは、サイバー軍のロジャース司令官が9日、上院軍事委員会で、送電網、金融機関など米国の重要インフラが、イランなど外国からのサイバー攻撃に対して脆弱であると証言したことを受けた措置。ロジャース氏は、インフラへの攻撃のほかに、インフラ内のデータを操作することを狙ったネットワークへの侵入への対応の重要性も指摘していた。

 大統領令は、サイバー攻撃からネットワークを守る連邦政府各機関の責任を明記しており、15年6月の中国による米人事管理局(OPM)データベースへのサイバー攻撃で、連邦政府職員2200万人のデータが流出した事件が背景にあるものとみられている。

 ボサート大統領補佐官(安全保障担当)はホワイトハウスでの会見で、OPMへのサイバー攻撃によって、連邦政府の情報を安全に管理するためにソフトウエアとハードウエアを改善する必要性が高まったことを明らかにした。

 ボサート氏は、16年選挙でのロシアからのサイバー攻撃が新政策の原因ではないとしながらも、「ロシア、中国、イランなどの国々は、サイバー攻撃の能力、ツールを生かして米国民、米政府、情報を攻撃しようとしている。米国も現状にとどまっているわけにはいかない」と外国からのサイバー攻撃への対応の必要に迫られていることを明らかにした。