北の対日恫喝、核保有を何としても阻止せよ
北朝鮮は国連安全保障理事会の対北制裁決議に関し、日本が米国に便乗したとして「日本列島4島を核爆弾で海に沈めなければならない」と威嚇した。
あまりにも乱暴で身勝手な発言だ。日米をはじめとする国際社会は北朝鮮への圧力強化で、核保有を何としても阻止しなければならない。
「核爆弾で海に沈めよ」
北朝鮮の朝鮮アジア太平洋平和委員会が出した声明は、このほかにも「わが軍や人民の声」として「日本の領土上空を飛び越えるわれわれの大陸間弾道ミサイル(ICBM)を見ても正気を取り戻さない日本人をたたきのめさなければならない」と主張した。
6回目の核実験や相次ぐ弾道ミサイル発射で、北朝鮮は国際社会の強い批判を浴び、制裁も強化された。それにもかかわらず、他国の存立を否定する発言をすれば、国際的な孤立は深まるばかりだろう。菅義偉官房長官が「極めて挑発的な内容で言語道断だ。地域の緊張を著しく高め、断じて容認できない」と強く非難したのは当然だ。
声明は米国に対しても「決議でっち上げの主犯」と決め付けて「わが軍や人民は、米国人を狂犬のように棒で打ち殺さなければならないと強く主張している」と述べた。北朝鮮はミサイル発射実験の準備を行っているとの報道もある。
安倍晋三首相はインドのモディ首相との会談で、制裁決議を完全履行して「圧力を最大化」することを確認した。日米両国は国際的な対北包囲網の構築を主導するとともに、北朝鮮の挑発に対する警戒を強化する必要がある。
その意味で懸念されるのは、韓国の文在寅政権が国連児童基金(ユニセフ)や世界食糧計画(WFP)を通じ、北朝鮮に800万㌦(約9億円)の人道支援を計画していることだ。児童や妊婦を対象とするワクチンや医薬品、栄養支援事業を念頭に、ユニセフには350万㌦、WFPには450万㌦の支援を検討しているという。
しかし人道目的とはいえ、この時期に北朝鮮を助けることは誤ったメッセージを送ることになりかねない。今は圧力強化を徹底すべきではないか。
北朝鮮の核保有を阻止できるかどうかは、北への影響力の大きい中国やロシア次第だ。今回の制裁決議も、当初案には北朝鮮への石油の全面禁輸が盛り込まれていたが、北朝鮮の不安定化を懸念する中露への配慮で見送られた経緯がある。
トランプ米政権内では、中国の金融機関などを対象にした独自制裁の拡大も検討されているもようだ。中国に制裁決議を完全履行させ、北朝鮮への圧力を強める狙いがある。中国を動かすための実効性ある措置が求められる。
強固な同盟関係を示せ
一方、海上自衛隊の補給艦が北朝鮮の弾道ミサイルを警戒監視する米イージス艦に燃料を補給している。海自艦の支援で、米艦は基地に戻らずに任務を続けることができる。
これは安全保障関連法に基づく自衛隊の新たな任務だ。日米の強固な同盟関係を示し、北朝鮮を牽制(けんせい)する必要がある。