国連対北制裁、核実験への制裁は重く厳しく
北朝鮮が行った核実験をめぐって国連安全保障理事会緊急会合が開かれた。北朝鮮から核ミサイル攻撃の脅しを受けている米国のヘイリー国連大使は、トランプ政権による北朝鮮と取引をしている諸国への経済制裁強化の考えを支持し、かつてなく厳しい制裁を北朝鮮に科すことを主張した。可能な限りの追加制裁措置を盛り込んだ決議を採択すべきだ。
石油輸出禁止が焦点
「最強の制裁決議案」を追求する米国に対し、制裁に効果がないという議論もある。ロシアのプーチン大統領は訪問先の中国福建省アモイで「北朝鮮は雑草を食べることになっても核開発をやめようとはしない」と述べ、効果に疑問を示した。
しかし、北朝鮮に核開発を放棄させることを国際社会が諦めてはいけない。特に、今回の6回目になる北朝鮮の核実験は、TNT火薬換算で160㌔㌧と推定され、広島原爆の約10倍の威力だ。強く対処しなければ、国連決議に違反する北朝鮮の無法行為が、大手を振って罷(まか)り通ることになる。
北朝鮮は大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射実験も並行して行っている。非常に危険なことだ。これらの違反行為を北朝鮮は隠すことなく国営メディアで映像や写真を公開し、国威発揚と威嚇に利用している。異様かつ深刻な事態である。
ヘイリー大使は安保理緊急会合で、過去24年間の対朝交渉が成果を挙げなかったことを踏まえ、安保理各国に対して「もうたくさんだと言わなければならない」と訴え、議論の時は過ぎているとの認識を示した。特に、米国の金正恩朝鮮労働党委員長に対する不信感は強い。同大使は「金正恩氏は戦争をしたがっている。米国は戦争をしたくないが、米国の忍耐は無制限ではない」と述べ、武力行使の可能性を否定せず、厳しく非難した。
米国は制裁効果を挙げるために、北朝鮮への石油輸出禁止を制裁案に盛り込む構えだ。他に労働者国外派遣の制限、北朝鮮製繊維の輸出禁止などが検討されているもようだ。北朝鮮の石油の9割は中国が供給しているが、中国側は石油を止める制裁案に反発している。
だが、トランプ大統領はツイッターに「北朝鮮とビジネスを行う全ての国との貿易停止も考慮している」と書き込んでおり、北朝鮮への追加制裁決議をめぐっては米国の中国に対する出方も注目される。「中国との経済戦争が全て」だったバノン首席戦略官は解任されたものの、トランプ政権の票田は中国との貿易不均衡に強い怒りを持つ労働者層でもある。中国が北朝鮮を擁護する態度を取るならば、バノン氏に代表された対中強硬論が米政権内で強まるだろう。
決議を厳格に履行せよ
北朝鮮の核開発の脅威が高まっているのは、予測不能な独裁体制であるためだ。人が強力な武器を手にしたとしても体力が衰えれば脅威は減じる。
核搭載ICBM開発を放棄しない北朝鮮の経済力を成長させることは危険である。国際社会は一致して北朝鮮の核開発を非難し、国連で効果的な追加制裁決議を採決し、厳格に履行すべきである。