性急すぎる南北対話の提案


韓国紙セゲイルボ

韓国の主導的役割には疑問

 分断50年ぶりに初の南北離散家族対面が行われた2000年8月。北朝鮮は大韓赤十字社総裁・張忠植檀国大理事長に金剛山面会所造成の意見を提示した。張理事長はこれに反対。高齢家族が金剛山まで行き来する旅程は負担になるとして、軍事境界線付近を逆提案した。

 北朝鮮の提案にいちいち反対した張理事長は当時、金大中政府の核心勢力から政府の太陽政策推進の障害物になるという不満を買っていた。張総裁は回顧録に、「統一部や国家情報院はわが方の立場を説得するどころか、むしろ北側の要求をみな受け入れて…」と無念だったことを記述している。

 南北関係改善と南北対話再開の意思が高い文在寅政府が17日、北朝鮮に軍事境界線での敵対行為中断と離散家族対面のための軍事会談・赤十字会談を提案した。

 文大統領が6日、「ベルリン構想」で、軍事境界線での敵対行為中断を停戦協定締結日(27日)に、また、離散家族対面および墓参訪問は10・4南北首脳宣言10周年を迎える10月4日として提示した。停戦協定締結日までわずかに10日である。会談を準備するにはあまりにも差し迫っている。

 韓国が急いでいる印象で何かを始めるのは避けなければならない“下手”だ。南北対話では常に主導権争いがある。対話に執着して早急がるほど、北朝鮮の言いなりになる公算が大きい。北は何としても南北対話の門を開こうとする文在寅政府の胸の内が読めただろう。仮に北朝鮮を動かせる秘蔵のカードがあっても、ことさらポーカーフェイスでなければならない。

 文大統領は韓国の主導的役割を強調して、韓半島平和体制構築のための大胆な行程を開始すると語った。ならば、こうした性急さを表すのは大胆な行程には似合わず、むしろ邪魔になる。

 核・ミサイル技術の完成を目前にしている北朝鮮だ。もしも北が南北対話と関係改善に関心があるとすれば、韓国とは違った狙いからであろう。基本原則を捨てて低姿勢で北朝鮮の言いなりになる南北対話が、「譲歩と妥協」という聞きやすい言葉で包装されてはならない。

 任期5年の民主政府と長期独裁世襲体制との対話はバラ色の合意より基本原則に忠実な対話である時こそ拍手を受けるはずだ。

(キム・ミンソ外交安保部次長、7月18日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。