ポリフェッサーの季節
1980年代のソウル大社会学部では現実政治に積極的に参加する教授(ポリフェッサー)に対する抗議デモが相次いだ。政治学科がその震源地だった。●成東、崔昌圭、金学俊教授と李洪九教授がそれぞれ全斗煥、盧泰愚政権で国会議員と閣僚を務めた。その前の政権でも政官界に進出した教授たちが多かった。46年に開設された同学科の最初の停年退職教授(金栄國)は95年に初めて生まれた。隣村の社会学科も感染し、韓完相、李珏範教授が金泳三政府の内閣と青瓦台(大統領官邸)に進出。李明博政府では(出身校の)高麗大が羽振りを利かせ、西江大が幅を利かす朴槿恵政府は第1期内閣の教授、研究職出身者が6人にもなった。
歴代政権が教授を重用したのは公職社会改革の意思を反映した側面がなくはないが、教授たちの権力欲がより多く作用したというのが衆評だ。2012年の大統領選では、500人ほどが朴槿恵、文在寅、安哲秀候補の各陣営に押し寄せた。渡り鳥の一群のようだ。このうち李相敦氏(現在、国民の党国会議員)だけが教授(中央大法学部)の職を辞した。ポリフェッサーは学生の授業権妨害はもちろん、落下傘人事の弊害の主犯だ。アジアインフラ投資銀行(AIIB)副総裁の職を失い国益に損害を与えた洪起沢・前産業銀行会長がその代表だ。中央大教授として大統領候補選対と大統領職引継ぎ委員会を経た彼は、現政府の第1号落下傘人事の一人だ。
4月の総選挙に続き、またもやポリフェッサーの季節が訪れた。昨日、創設準備シンポジウムを開いた文在寅・前共に民主党代表の大統領選挙に備えたシンクタンクに教授・専門家約500人が発起人として名を連ねた。文前代表サイドは年末までに参加教授を1000人以上に増やすという。普通の大学2校分の規模であり、早期大勢論を固めるための動きだ。金富謙・共に民主党議員、安哲秀・前国民の党前代表なども対抗する構えで、このままでは“教授ブラックホール”現象が生まれそうだ。
今年のノーベル医学生理学賞を受賞した日本の大隅良典・東京工業大学栄誉教授は実に50年間もオートファジー(自食作用)分野の研究だけに没頭した。隣国の慶事をうらやましく思うばかりではなく、ポリフェッサーからなくすべきだ。研究は二の次で与野党の勢力抗争にまで加担する“象牙の塔”ではノーベル賞は望むべくもない。総選挙の比例代表候補者名簿の筆頭が教授、科学者で占められる国はわれわれ以外にないはずだ。
(10月7日付)
●=衣の亠の下に非が入る
※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。