開化党が清に抗し自主独立、近代化のため１８８４年に起こした甲申政変が挫折し米国に亡命中、韓国人として初めて医師の免許を取得した徐載弼（ソジェピル）が帰国時に持ってきたのが自転車だった。よろよろ走る二つの車輪は開化ののろしだった。それから１２１年が流れた。

　ソウル市の自転車専用道路は７７６㌔に達する。ソウルと釜山を結ぶ京釜高速道路の１・８倍だ。京畿道は４２８６㌔だ。李明博（ＭＢ）政府の時に建設した４大河川自転車専用道路（１７５７㌔）の後、本格的に普及した。漢江沿いの八堂（パルダン）～麗州（ヨジュ）区間はアイデアの産物だ。廃線となった鉄道・中央線の線路を活用した。漢江べりから始まって山を通過して平原に至る。トンネルのおかげで高度差がほとんどない。ＭＢが推進した４大河川整備事業は批判に晒されたが、自転車専用道路は称賛一色だ。自転車専用道路に関する博士論文まで発表された。

　自転車のイベントは政治家が大衆的な人気を確認するショーケースとなった。２０１１年、京畿道両水里（ヤンスリ）の錆（さび）た北漢江鉄橋での自転車専用道路開通式でＭＢがこれを確認した。世宗市は自転車専用道路に太陽光発電パネルを設置した。「２０１６　Ｉ　ＬＯＶＥ　自転車フェスティバル」（１０～１１月）はソウル市の陽川区など五つの区長が共同後援する。地方自治体ごとに自転車専用道路を延ばして大会を開催している。

　自転車専用道路の拡張は世界的な趨勢だ。ドイツは１００㌔自転車アウトバーンの一部を開通させた。英国のロンドンは東西を貫く自転車スーパーハイウェイを今年の末までに完工する計画だ。テムズ川に沿って走るのだが、車道と完全に分離されている。オランダは太陽光パネルを道路に敷いた自転車道を造っている。また、夜間ライダーのために夜光石を混ぜ込んだ自転車道も造っている。運河国家のオランダは運河に沿って自転車道を造ったが、上り下りがなくて子供と女性に好かれ大衆性を得ている。

　隣国のベルギーは失敗した。高低差が大きな地表のためだ。上りをあえぎながらこいだ後は、自転車を放り出したくなるものだ。１だけ見て２を悟れない政策の施行が教えてくれた教訓だ。フィヨルド地形で有名なノルウェーは自転車専用エスカレーターを設置して急な傾斜を克服した。

　ソウル市は２０年までに事業費２３７億ウォンを投入して自転車専用道路を１１３㌔延長するという。ソウルの中心部などにつながるのだが、高度差をどう克服するか。朴元淳市長の“大統領街道”の勝敗の分かれ道になりそうだ。

　（９月３日付）

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。