長距離弾道ミサイルが発射された北朝鮮北西部…


 長距離弾道ミサイルが発射された北朝鮮北西部、東倉里のミサイル基地。ここではミサイル組み立てや液体燃料の注入を地下施設で行えるため、米国などが事前の動きをつかみにくくなったようだ。

 今回のミサイルは、2012年12月に同基地から打ち上げられたテポドン2号の改良型かそれによく似た型だとみられている。また今後、破片を回収するなどして分析すればかなり明らかになるという。

 しかるになぜ今この時に、国際社会の強い批判を招き、北朝鮮の孤立を一層深めるミサイル発射が行われたのか。故金正日総書記の誕生日(2月16日)を控えての国威発揚との見方もあるが、はっきりしたことは分からない。独裁政権の通弊で、すべて秘密のベールに覆われている。

 先般の核実験についても同様で、この国の核開発がどの程度進んでいるのか、外部からはなかなか見えてこない。民生用の原子炉一つまともに作れない国が、水爆を製造できるはずがない――という常識がどこまで当てはまるのか定かでないのだ。

 弾道ミサイルそのものの脅威もさることながら、独裁政権下の徹底的な情報封鎖で開発計画の狙いがはっきりしないことは、決して楽観できない、さらなる脅威と言えよう。

 日米韓は、現れた結果の分析、対策に終始するのでなく、もっと包括的な危機管理体制の構築が必要だ。まさかの時を考えるのが危機管理の要諦だ。