日米韓協議、北の核放棄へ中露に圧力を
北朝鮮が「水爆」と称する4回目の核実験を強行したことを受け、北の核問題をめぐる6カ国協議の日米韓3カ国の首席代表が緊急にソウルで会合した。
この3カ国の連携は北朝鮮の武力挑発を防ぐ外交努力として最も重要だが、特に今後は北への強力な制裁に慎重な姿勢を崩さない中国とロシアを圧迫していく方法も模索しなければならない。
開発に歯止め掛からず
北朝鮮が過去3回の核実験を経て本当に水爆開発に成功したのか疑問を投げ掛ける専門家は多い。実際に核実験に伴う人工地震の規模から判断し、水爆ほどの威力ではなかったとみられている。
だが、問題は国際社会の糾弾、度重なる経済制裁にもかかわらず北朝鮮の核開発に一向に歯止めが掛からない点だ。
日米韓の代表は、過去にはなかった圧力外交で強力かつ包括的な国連安保理制裁決議の採択を目指すことで一致したという。制裁は当然だが、そこに中露2カ国がどう参加するかが効果を大きく左右する。
核実験後、韓国の尹炳世外相は電話会談で制裁協力を要請した。しかし、中国の王毅外相は対話による解決を強調するにとどまった。ロシアのラブロフ外相は「深刻な憂慮」を表明しつつ「北東アジアの緊張をさらに高める行動を取るべきでない」と述べた。
日米韓との温度差は歴然としており、現状では中露が本気で制裁に加わるか疑問だと言わざるを得ない。
北東アジアで米国と軍事的利害がぶつかる中露にとり、韓半島は地政学的に極めて重要だ。特に中国の場合、北朝鮮は韓国に駐留する米軍と国境で直接対峙(たいじ)しなくても済む緩衝地帯であり、その暴走は自分に代わって米国を揺さぶることにほかならない。冷戦終結後、四半世紀が過ぎてもなお中露は日米韓との対立軸をなしている。
だからこそ日米韓の連携を崩す要素は一刻も早く除去しなければなるまい。中でもまず求められるのが、韓国の朴槿恵政権による中国傾斜外交の是正だ。
中国傾斜は将来の韓半島統一や安全保障問題で中国が北朝鮮よりも韓国の立場に理解を示すための戦略だというのが韓国側の主張だが、その結果、日米韓の絆にひびが入った。昨年末に開設された中韓国防相間のホットラインは、北朝鮮の核実験という非常事態にもかかわらず中国側から回答がないままだ。
朴槿恵大統領は年頭の会見で、核実験への対応と関連し「中国が必要な役割を果たすと信じる」と語るのが精いっぱいだった。最も肝心な時に中国の協力が得られないことに韓国国内からも批判の声が上がっている。
北朝鮮の核問題で中露を説得するには、2008年12月を最後に7年以上開催されていない6カ国協議に代わる枠組みも検討すべき時だ。
日韓関係改善弾みに
昨年11月の首脳会談や年末の「慰安婦」合意に続き、通貨スワップ協定再締結の動きなど日韓関係は急速に改善に向かっている。これを弾みに、日米韓の連携を再度強化しなければならない。
(1月15日付社説)