AIIB加入と統一外交の方向
韓国紙セゲイルボ
米中間の問題最小化に動け
韓国政府のアジアインフラ投資銀行(AIIB)加入決定について、「顔色を見ていてタイミングを逸した」という批判が出ると、尹炳世(ユンビョンセ)外相は、「最適の絶妙のタイミング」で決定したと反論した。
しかし、AIIBスタートについて、中国が切実に必要としていた時に、韓国政府が積極的に動いたならば、状況はかなり違っていたのに、という物足りなさは残る。
英国をはじめとした先進国が加入を決めるまで、意思表明したのは開発途上国に限定されていた。その時がまさに韓国が中国に影響を及ぼすチャンスがあった最適のタイミングだったからだ。
AIIBは北朝鮮の改革開放を誘導し、経済発展を支援するのに必要な莫大な資金を用意するのに役立つ。ある評価によれば、北朝鮮の核心インフラ構築だけで、10年間に約100兆ウォンという費用を要する。これが朴槿恵(パククネ)大統領が東北アジア開発銀行の設立を提案した背景であっただろう。
AIIBが北朝鮮のインフラ構築に参加する場合、韓国が負担する統一費用が減ることは明らかだ。合わせてAIIBを中心にした韓中協力体制で北朝鮮に接近すれば、膠着(こうちゃく)した南北関係の出口を開くことにも寄与できるし、吸収統一に対する北朝鮮の警戒を相当部分緩和できる。
もちろん決定が遅れたのは、韓国政府として韓米同盟を考慮したからだろう。しかし、これは対立関係にある国家の間に自らを置いて判断するという過度に受身的なわれわれの思考を反映させたもので、この点が批判される理由でもある。
より積極的な選択肢は韓国政府が米国と中国の間の異見を仲裁することだった。米国が拒否した理由は、中国が同銀行に対する支配的所有権を掌握して、独断的に運営するのではないかという憂慮のためだ。
それなら、韓国政府はこのような憂慮を中国と積極的に協議しなければならない。実際に中国は支配権や透明性について、相当な変化を受け入れている。われわれがこのような変化を導引した場合、米国が反対する名分が消え、われわれの位置付けは拡大した。
周辺列強が統一について、多様な利害関係を持つことを考慮すれば、統一外交は米国と中国の間で生じ得る問題を最小化することが重要だ。その時、受動的で消極的方式では効果を上げにくい。
AIIB加入の経験は強大国間の相異なった利害関係を調整するような積極的な外交的構想と実践の必要性を提示している。
(金材”〈キムジェチョル〉カトリック大教授・国際関係学、4月3日付)
※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。