「統一大当たり」と四面楚歌


韓国紙セゲイルボ

鍵握る人材登用と内部団結

 「四面楚歌(そか)」は楚の覇王・項羽が垓下(今の安徽省)で劉邦の軍に包囲された時、劉邦の兵士が楚の歌を歌うことによって、項羽をして戦意を喪失せしめた逸話だ。今日、四面楚歌は朴槿恵(パククネ)大統領の「統一大当たり」に比喩できる。

 南北の20対1の深刻な経済力差、北朝鮮の人権蹂躙(じゅうりん)と飢えの断末魔的状況、そして独裁世襲政権を維持するための核開発と軍事力強化に狂奔する北朝鮮の先軍政治体制は米国の経済封鎖で限界状況に達している。

 朴大統領は中国の習近平国家主席と蜜月関係を持続しており、国連の人権決議案が可決されるなど、北朝鮮を四面楚歌の状況に追い込んでいる。

 統一大当たりは、南北が統一されれば北朝鮮の労働力と韓国の技術力を合わせて、韓民族の経済がもう一度飛躍できるという希望の混ざった発言だが、北朝鮮から見れば、韓国中心の吸収統一の脅威を感じさせるのに十分だ。

 そうでなくても3代世襲で窮地に追い込まれた北朝鮮は、張成沢(チャンソンテク)の処刑で中国との関係断絶と政治不安に陥っており、回復不能の経済難が重なって、体制崩壊が進んでいるといっても過言ではない。

 韓国が引き続き統一大当たりの歌を歌えば、窮地に陥っている北朝鮮の政治勢力が韓国に投降する状況になるかもしれないという気さえする。だから統一大当たりの歌は歌い続けなければならないのだ。

 問題は韓国の内部団結だ。今の南北の状況を見れば、韓国中心の平和統一となるだろう。北の民生はどん底に落ち、住民は食糧と生活必需品を自給自足しなければならない状況だ。すでに民生レベルでは体制崩壊しており、いくら強い軍事統制体制といっても体制維持が難しい。

 北朝鮮の崩壊は時間の問題だ。この時に韓国政府がすべきことは、特定イデオロギーや見解に便乗した独善と正義でなく、仕事のできる人材を国民全体から登用することだ。漢の高祖(劉邦)はまさに人材登用で、敵を味方にして漢を建てることができた。

 私利私欲や集団、地域の利害によって、意見が入り乱れていては統一の機会を逃すことになる。統一されるその日まで、統一大当たりが四面楚歌になるように歌い続け、広げ続けなければならない。

(朴正鎮〈パクジョンジン〉客員論説委員・文化評論家、2月17日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。