作戦権移管の再調整、安保利益を優先に


韓国紙セゲイルボ

 韓米戦時作戦統制権は平時作戦権と戦時作戦権に区分され、金泳三(キムヨンサム)政府時期に平時作戦権が整理され、李明博(イミョンバク)政府で戦時作戦権の移管が1度延期されている。

 この問題が韓国社会を熱くする揮発性の高い懸案という点にまず留意する必要があるが、問題の核心は韓半島平和を達成するための最も確実な安保態勢が何であり、そうした本質的質問に正確な回答を出すために何を悩まなければならないかの問題であろう。

 韓半島安保状況に焦点を合わせれば、北朝鮮の核脅威は消えておらず、核問題による韓国民の心理的安保不安がかつてなく重く、戦作権移管に慎重でなければならないという主張に納得がいく。

 もちろん、韓米連合軍司令部の下に戦作権が存在するからといって、直ちに北核問題を解決できることでもなく、北が直ちに変化し、国際規範を遵守(じゅんしゅ)することもない。

 だが、未来志向的で持続可能な平和というのは、結局、国家安保利益が固く維持される時にだけ可能だという理性的判断からすれば、韓米同盟という国家資産を特定の範囲と制約に縛っておくのではなく、一時的にその範囲を広げて、多様な運用の実を生かす戦略は望ましいと考える。

 また見過ごしてならない問題は東北アジア安保環境の悪化だ。中国を含んだ周辺国の不安と非協力は韓半島平和はもちろん統一コリアを実現していく上で、われわれが最も憂慮する変数となっていることも考慮に入れるべきだ。

 韓国の国防能力と韓半島安保状況に対する正確なデータが戦作権移管の再延期をめぐる解答になるためには、客観的な点検作業に劣らず国民の関心を喚起することが重要だ。

(朴仁煇〈パクインフィ〉梨花女子大国際大学院教授、4月30日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。