デジタル課税で合意、G7で米仏首脳
仏ビアリッツで開催された先進7カ国首脳会議(G7サミット)最終日の26日、記者会見でフランスが導入を決めているグーグルやフェイスブックなどの大手IT企業を対象にしたデジタル課税について、マクロン仏大統領はトランプ米大統領と妥協案で合意したことを明らかにした。
トランプ氏は、フランスのデジタル課税は米国の優良企業を標的としたものと不快感を示し、米国が輸入する仏産ワインに100%の関税をかける対抗措置を取る意向を示していた。合意ではフランスはデジタル税は導入するものの、企業が進出するそれぞれの国で課税を行うルールを経済協力開発機構(OECD)が取りまとめた段階で、それに従うことを約束するものだ。
OECDは標準化したルールでIT企業に適切な税を国ごと徴収する方策をここ数年検討してきた。仏ルモンド紙は、フランス政府はOECDの枠組みに従う前に徴収し過ぎた税金は企業に払い戻すことも約束したとしている。専門家は「デジタル税を各国で徴収するルールは、一歩前進だ」と評価している。
現在、フェイスブックやグーグル、アマゾンなど欧州で巨額の利益を上げている米大手IT企業は、高額課税を避けるため税金の安いアイルランドに本拠地を置き納税している。そのため、それぞれの国で得た利益に対して、国ごとに納税していないことを問題視する声が数年前から上がり、新たな枠組み作りが急がれている。
合意についてマクロン氏は、「2国間にあった意見の相違を修正するための合意に達した」「国際的な税制モデルができた時、わが国は独自の税を取り下げる」と述べた。
トランプ氏は具体的な言及をしなかったが、マクロン氏との共同会見の中で「ファーストレディー(メラニア夫人)はフランス産のワインが大好きだった。だから感謝したい。それでいい」と語って、会場を沸かせた。
(パリ 安倍雅信)