伊副首相、支持率低下に注目
EU懐疑派の旗振り役
イタリアで連立政権の一翼を担う右派政党「同盟」を率いるマッテオ・サルビーニ副首相兼内相の支持率が低下している。欧州議会選挙を目前に控える中、サルビーニ氏は各国で勢いを増す欧州連合(EU)懐疑派政党との共闘を呼び掛ける旗振り役であるだけに、その人気低迷は大きな注目を集めている。サルビーニ氏はEUの財政規律に従わない意向を示したり、移民・難民受入れ拒否を改めて表明するなど、メディアに登場しない日がない。しかし、連立を組むポピュリスト政党「五つ星運動」のディマイオ副首相との関係が悪化し、政権の不安定化が懸念されている。
サルビーニ氏はこの2週間で支持率が6ポイント低下し、連日のように繰り返す遊説先では、同氏に抗議する集団からブーイングを浴びている。特に政敵の左派は行動を激化させており、機動隊が出動する事態にもなっている。サルビーニ氏は、EU懐疑派が政権を担うハンガリーのオルバン首相とポピュリスト同盟を結成すると宣言したほか、4月下旬に実施されたスペイン総選挙で24議席を獲得した新興極右政党ボックスへの支持を表明した。
専門家からは、サルビーニ氏の無謀な経済政策に不安を抱く有権者が離れているとの指摘が出ている。また、イタリアのファシズムの象徴ムッソリーニ元首相が演説した広場のバルコニーから演説したことでバッシングを受けたり、内相としての仕事より政治活動に何倍も時間を費やしていると批判されている。
(パリ 安倍雅信)