23~26日の欧州議会選挙
欧州連合(EU)加盟各国では、今月23~26日にかけ、欧州議会議員(現定数751)選挙が実施される。フランスをはじめ、加盟国内にはEU懐疑派やポピュリズム(大衆迎合主義)政党が勢いづいており、欧州議会の過半数を占めていた中道右派、左派の2大会派に対して、EU懐疑派が3分の1以上の議席を占めるとの予想も出ている。
EU懐疑派に勢い
2大会派、過半数割れの可能性
フランスでは、前回の2014年の欧州議会選挙で、約25%のトップの得票で24議席を獲得したマリーヌ・ルペン党首率いる国民連合(RN)が支持を集めている。世論調査では、仏国民議会で圧倒的過半数を占める与党・共和国前進(REM)や与党第1党の共和党(LR)をしのぎ、今回も予想ではトップに立っている。
RNは、他のEU加盟国のEU懐疑派のポピュリズム政党とは異なり、極端な右寄りの主張から、福祉国家モデルを擁護する方向に政策転換し、左派票も取り込むことに成功している。マクロン仏政権が黄色いベスト運動などで支持率を落とす中、RNは勢いづいている。ただ、REM側も親EU派リベラルとして加盟各国のEU支持有権者に影響を与える勢力といわれ、動向が注目される。
先月下旬に実施されたスペイン総選挙では、移民・難民問題新興極右政党ボックスが24議席を獲得し、国政に初進出した一方、右派・左派の既存政党が劣勢に回っている。ボックスの政界進出に、ドイツのEU懐疑派の右派「ドイツのための選択肢」(AfD)も「偉大な勝者」とたたえた。
イタリアの極右政党「同盟」を率いるサルビーニ副首相も「ボックスが欧州での仲間となることを望む」と欧州での勢力結集を呼び掛けた。加盟各国のポピュリズム政党は、過去にないレベルでの連携を呼び掛けている。
欧州議会選まで約2週間となり、EU離脱をめざす英国のメイ首相は7日、欧州議会選に参加する意向を表明した。英国では、離脱強硬派の急先鋒で欧州議会議員のファラージ氏が先月、ブレグジット党を立ち上げ、支持を伸ばしている。英国も今回の選挙に参加するため、EU懐疑派には追い風になっている。
EU懐疑派が選挙で3分の1を超える計255議席を上まわるとする予想もあり、議会の立法手続きを阻止する存在になる可能性が高まっている。2大会派の中道右派「欧州人民党」と中道左派「社会民主進歩同盟」はそれぞれ第1、第2会派の座を守ったとしても、合計議席が過半数を割り込めば、1979年の直接選挙導入後初めての事態となる。
(パリ 安倍雅信)