政権交代に向けアピール、党名変更提案したルペン党首
フランスの右派政党・国民戦線(FN)のマリーヌ・ルペン党首が、イメージの一新のため党名を「国民連合(RN)」に変更する提案を同党大会で行い、注目を集めた。父親のジャンマリ・ルペン前FN党首が1972年に創設した同党は、「過激な極右」との批判を受けてきた経緯から、改名し政権党を目指すとの意向だ。
昨年の大統領選では、マクロン大統領に敗北したとはいえ、ルペン候補は決選投票にまで勝ち進み、1000万票を獲得。政治基盤の拡大を印象付けた。昨年6月の総選挙でマクロン氏の与党である中道新党・共和国前進が議会の圧倒的過半数を占め、政界再編が起きた。この機にルペン氏も、今後の課題は政権党を目指すことだと明確な意思を示している。
11日に仏北部リールで開かれた党大会後、父ルペン党首時代からの支持者の中には「名前を変えても党の目指すものは変わらない」と述べる旧世代の支持者がいる一方、「時代の変化に党も変わるべきだ」と党名変更を支持する声もあった。決定は3カ月後になる。
FNは長い間、移民排撃、反ユダヤ主義イメージが強かった。特に父ルペン氏は「ユダヤ人虐殺のホロコーストは存在しなかった」など、ネオナチに近い過激な発言を繰り返したため、そのイメージが付きまとっている。しかし、米国に自国第一主義のトランプ政権が誕生したのを受け、単純なポピュリズム政党を脱すべきだという声も党内にはある。
昨年の大統領選では、反欧州連合(EU)や反ユーロ通貨も争点になったが、ルペン氏は明確なメッセージを出しておらず、党大会でも触れなかった。
今回の党大会でルペン党首は、父ルペン氏が持つ名誉職も剥奪し、つながりを完全に切った形だ。今後は政権を獲得できる政党に生まれ変わることを目指すと主張しており、存在感をアピールしたいところだ。
(パリ安倍雅信)