コロナ禍 ウィーンに「光の鎖」灯る
3万人が「連帯」示す
オーストリアの首都ウィーンで19日夜(日本時間20日午前)、市内のリンク通りに新型コロナウイルスの感染で亡くなった約1万3400人を追悼するとともに、コロナ患者の治療、看護に従事する医師、看護師、奉仕活動家などに感謝と連帯を表明する「光の鎖」が灯(とも)された。警察側の発表では3万人の市民が参加した。
主催者側によると、スローガンは「イエス・ウィ・ケア(気に掛けている)」だ。午後6時ごろになると、リンク通り周辺に人々が集まり始め、午後7時になると集まった人々はろうそく、ランプ、スマートフォンで光を灯し、国立歌劇場からリンク通りに「光の鎖」が現れた。10分間灯し、黙祷(もくとう)。主催者側や政治家の演説もなければ、プラカードを掲げる人もいない。40の組織、団体、医師会、労働組合、宗教団体が支援した。
オーストリア国営放送の夜のニュース番組で、「光の鎖」に参加した老夫婦が「クリスマスを間近に控え、反対や抗議のためではなく、何か皆のためになることをしたいと思ってきた」と述べていた。ファンデアベレン大統領は直接参加しなかったが、ホーフブルク宮殿の大統領府で窓際にろうそくを灯し、連帯の意思を表明したという。
「光の鎖」に参加した一人のウィーン市民は「コロナ規制に反対する抗議デモ集会が頻繁に行われ、一部過激化しているニュースを見聞きすることが多いが、大多数のウィーン市民はコロナ禍で助け合い、連帯している。その姿を見せたいと思った」と述べていた。
(ウィーン・小川 敏)