スペイン カトリック教会 新たに性的虐待251件


長年隠蔽・タブー視か

サン・ピエトロ大聖堂Wikipediaより

 スペインのローマ・カトリック教会が、バチカンのフランシスコ教皇に提出した報告書によれば、スペイン教会の施設内で1930年代以降、新たに251件の性的虐待が発生していたことが確認された。仏メディアが20日、報じた。

 報告書は2018年に開始された長期にわたる調査によるもので、スペインのイベリア新聞は、明らかになった251件は、既に確認されている1237人の犠牲者に追加されるものとしている。

 カトリック系の複数の学校の授業中に教師が生徒に性的暴行をした事例も古くから知られていたが、長年隠蔽(いんぺい)され、タブー視されていたという。

 今回の調査はバチカンの主導、監視の下で実施され、教会指導部が責任を取るべきだと結論付けている。報告書はさらに、77%が、司教の権限下に置かれていない信徒会、あるいは修道会に関係していることを強調している。結果的に同国内の31の信徒会と多くの教区が関わっていると指摘されている。

 フランスでは同国カトリック教会内の聖職者による未成年者への性的虐待の犠牲者が、1950年代以降で21万6000人に上るという衝撃的な事実が明らかにされたばかり。

 スペインで確認された事例が251件と極端に少ないことを疑問視する声もある。特に聖職者による性暴力が少ないことについて、フランス以上に国に影響力を持つスペインのカトリック教会で被害者が告発しにくい状況もあるのではとの見方もある。

(パリ 安倍雅信)

(サムネイル画像:Wikipediaより)