イラン核合意再建へ協議再開 「大きな進展期待できず」


国際原子力機関(IAEA)本部前に掲げられるイラン国旗=24日、ウィーン(EPA時事)

 英仏独中露とイランは29日、ウィーンで核合意をめぐる次官級の合同委員会を開催する。合意を離脱した米国も間接的に参加する。6月に合意できずに休会して以来で、8月の反米強硬派のライシ政権発足後、初の協議。ウィーンに本部を置く国際原子力機関(IAEA)関係者は「大きな進展は期待できない」と悲観的だ。

 IAEA関係筋は「今回の会合で大きな進展は期待できない」と述べる一方、「米国が対イラン制裁の一部を緩和、イランが核開発の一部停止に応じるならば、暫定的な合意は可能かもしれない」と指摘。その場合でも「来年春からの本格的な交渉のための時間稼ぎの性格が強くなる」と説明した。

 イラン核協議は、国連常任理事国5カ国にドイツを加えた6カ国とイランとの間での13年間の交渉の後、2015年7月に締結された。しかし、トランプ米大統領(当時)が2018年5月8日、離脱を表明。それを受け、イラン側は濃縮ウラン活動を再開するなど、合意の違反を繰り返してきた。

 バイデン米政権は、核合意再建を目指して間接的な交渉を行ってきたが、イランでライシ政権が誕生し、イラン指導部で反米・反イスラエル路線が台頭、交渉はさらに難しくなってきている。

(ウィーン 小川敏)