銃撃テロ1年目を迎えてーオーストリアから
地球だより
ウィ―ン銃撃テロ事件の犯行場所で犠牲者を追悼するオーストリア政府首脳陣(2020年11月3日、ウィーン市内で、オーストリア国営放送の中継放送から)[/caption]
11月2日はウィーン市民にとって忘れられない日だ。昨年の同日、イスラム過激派によるテロが発生したからだ。
筆者はその時間、テレビを見ていたが、画面が突然、ニューススタジオに切り替わり、アナウンサーが深刻な顔をして、「ウィーン市内でテロ事件が発生しています。状況はまだ不明です。外出しないで家に留まっていてください」と述べる一方、聖シュテファン大聖堂前で逃げ回る市民や重武装したテロ対策部隊の姿が映し出された。
実行犯は1人で、テロ対策特別部隊コブラに射殺された。数分間のテロで4人が射殺され、20人が重軽傷を負ったことが判明したのは夜が明けてからだ。近くのレストランに逃げ込み、警戒解除までそこに隠れていて助かったという話も後で分かった。犠牲者の中には、ウィーンの大学で芸術を学び、夜レストランで働いていたドイツの女学生が含まれていた。新しい職に就いたことを祝おうと路上で友人と待ち合わせをしていた若者もテロリストに射殺された。
容疑者は20歳、北マケドニア系でオーストリア生まれの2重国籍保持者。シリアでイスラム過激組織「イスラム国」(IS)に参戦するためにトルコ入りしたが、拘束された後、ウィーンに送還されていた。オーストリアの首都ウィーンは世界的な観光地であるとともに、国連など30を超える国際機関の本部、事務局がある国際都市だ。テロ専門家らは「ウィーンは今後も国際テロの標的となる」と警告している。
(O)