EU・豪のFTA阻止を示唆、フランス 潜水艦契約破棄受け
フランスは20日、オーストラリアが仏製潜水艦の大型共同開発契約を破棄したことを受け、欧州連合(EU)と豪州の間で交渉が進められている自由貿易協定(FTA)を阻止する可能性を示唆した。豪州はフランスとの契約を破棄し、英米とインド太平洋の安全保障のパートナーシップの新たな枠組みAUKUS(オーカス)に参加することで、原子力潜水艦建造の技術をアメリカが提供する契約にサインした。
豪州が、EUとの軍事合意より、米英との関係を優先したことで、EUの欧州委員会のフォンデアライエン委員長は20日、「許せない」扱いだと述べ、不快感を示した。フランスは約900億豪ドル(約7兆1000億円)規模の契約を失うことになる。フランスのボーヌ欧州問題担当相は「すでに信頼を失った国との間に何事も起きなかったかのように通商交渉を進めることは考えられない」と述べた。
国連総会の演説のために渡米しているジョンソン英首相はオーカスについて「これは、英米豪が特定の技術を共有する方法にすぎない」と記者団に述べ、「わが国が他の誰かに敵対したり、排他的であったり、他の誰かを混乱させたりしたいという意味ではない」として、英仏との友好関係に変化はないことを強調している。
(パリ・安倍雅信)