仏大統領 難民流入を警戒、「阻止」発言に反発も


マクロン大統領

 フランスのマクロン大統領が16日、想定外のルートからフランスに流入しようとするアフガニスタン難民を阻止する考えを表明したことが国内で非難されている。

 特に野党左派勢力は、難民に対する連帯を示しながら、フランスの国境を難民に開くつもりはないという認識は矛盾するとして、強く反対している。

 ヤニック・ジャドー議員は「脅威をもたらす不法移民と言ったマクロン氏の演説にショックを受けた」と難民への連帯の欠如を強く非難した。

 欧州は2015年にシリアやイラクから大量の難民・移民が流入し、難民に紛れ込んだイスラム過激派がフランスやベルギーでテロを実行した経験を持つ。ドイツは100万人の難民を受け入れたが、イスラム教徒難民との軋轢(あつれき)が起き、さまざまな社会問題に発展、メルケル首相は2015年当時とは態度が一変し、難民受け入れには慎重だ。

 欧州連合(EU)欧州委員会のヨハンソン委員(内務担当)は18日、「差し迫った脅威」にさらされているアフガン人を保護するため、難民の受け入れ拡大をEU加盟国に要請したことを明らかにした。

 大量難民から自国を守ることを表明したのはマクロン氏だけでない。ギリシャのミタラキス移民相は、「ギリシャは欧州を目指す難民の玄関口にはなれない」と言明している。トルコが欧州との国境を開放したことで難民が押し寄せることを強く警戒している。

(パリ・安倍雅信)