仏全土で外出禁止
大統領発表、学校も4週間閉鎖へ
フランスのマクロン大統領は3月31日夜、国民向けのテレビ演説で新型コロナウイルス対策規制の強化策を発表した。集中治療室(ICU)の入院患者が3月末に5000人を超え、パリ首都圏などで重症者の病床占有率が限界に達している。
新規感染者数は31日直近24時間で6万人に迫り、マクロン氏は「制御不能」に陥る懸念があると危機感を示すとともに全国の幼稚園・保育園や小学校を3週間、中高等学校を少なくとも4週間休校する方針を打ち出した。 新たな規制は4月3日から少なくとも1カ月間継続する。地域限定の外出禁止は全土に拡大し、県をまたいだ移動も仕事など特別なケースを除き基本的に禁止するとしている。さらに企業にはテレワークの徹底を要請し、在宅勤務を国民に要請している。
1月に感染症の専門家らが政府にロックダウンを求めていたが、マクロン氏は実施しなかった。今回の演説でマクロン氏は、「この感染拡大のすべての段階で、私たちはもっとうまくやれたはずだ。間違いを犯したことを認めざるを得なくなった」などと述べ、方針転換について国民に理解を求めた。
今後、ワクチン接種を16日から60歳以上のすべての人々を対象に実施し、5月15日から50歳以上、6月中旬からは50歳未満の人々に拡大する方針だ。ただ、英アストラゼネカ製ワクチン接種で血栓が発見されて以来、ワクチン忌避も広がっており、先の見通せない状況が続いている。
(パリ 安倍雅信)