新型コロナ 我慢のクリスマス
感染急拡大の欧州
厳しい制限次々
欧州で新型コロナウイルスの感染が急拡大していることを受け、各国政府は厳しい制限を次々に発表している。外出禁止措置を適用しているフランスでは15日より、緩和する方針だったが、クリスマスイブの24日を除き、外出禁止令を解除する代わりに夜8時から早朝6時まで夜間外出禁止令を出した。
さらに、美術館、スポーツイベント会場、劇場などの人が集まる場所は来月7日まで閉館を継続することになった。フランスでは15日、新たに高齢者を中心に790人が感染死亡し、全体では5万9072人と6万人に近づいている。
一方、ドイツでは16日、952人の感染死亡が確認され、前日の500人から倍増し、過去最多となった。メルケル首相は9日、「クリスマスシーズンを楽しめないのは残念だが、現状(死者数の多さ)は受け入れられない」と述べ、危機感をあらわにしたばかりだった。16日から学校が閉鎖され、スーパーや銀行といった生活必需品の店舗以外の小売店は営業休止された。
新型コロナウイルス対策を統括する独ロベルト・コッホ研究所(RKI)のロタール・ウィーラー所長は、ドイツの状況は危機的だとの認識を示し、「このパンデミックの中で、現在の状況は最も深刻なものだ。感染報告数は最多を記録、さらに増加し続けている。今後も状況が悪化し、パンデミック対策が困難になっていくリスクがある」と指摘した。
欧州連合(EU)の欧州医薬品庁(EMA)は、米ファイザーと独ビオンテックが開発した新型ウイルスワクチンの使用を承認する時期を早めた。EU全体で接種の時期が前倒しになるとの見通しだ。同ワクチンはすでにイギリスおよびアメリカの規制当局が承認し、接種が始まっている。
英国では16日からイングランド南部のロンドンやエセックス州などで、警戒レベルが最も高い3に引き上げられた。パブやレストランの営業はテイクアウトや配達に制限され、劇場やボーリング場、映画館などの屋内娯楽施設も閉鎖された。スコットランドやウェールズも厳しい対策が行われている。
イタリア政府は、1日当たりの感染死者数が500人近くで推移しているために、クリスマス期間の制限強化を検討している。クリスマスから年明けまでロックダウン(都市封鎖)が実施される可能性がある。
オランダは過去最も深刻な感染拡大が認められることから、5週間のロックダウンに入り、これまでで最も厳しい制限が適応されている。日用品以外を扱う小売店や映画館、美容院、ジムなどが全て営業しておらず、16日からは学校も閉鎖された。さらに、3月半ばまでは不要不急の旅行を予約しないよう推奨されている。
スウェーデンも今年最悪の感染拡大を見せていることから、過去にない厳しい制限措置が敷かれ、クリスマスも家で、少人数で過ごすことが推奨されている。
(パリ 安倍雅信)