仏ニースの教会 ナイフ襲撃で3人殺害
テロの可能性
フランス南部ニースのノートルダム大聖堂で29日午前9時ごろ、男がナイフを振り回し、警察当局の発表で3人が死亡、複数の人が負傷したもよう。捜査当局はナイフによる襲撃は教会内部で発生したとしており、ダルマナン内相は、テロを含むあらゆる可能性を排除せず、特別捜査チームを作ると述べた。教会付近で爆弾捜査も行った。
容疑者は駆け付けた警官が身柄を拘束する時に負傷し、病院に移送されたと地元メディアは報じている。容疑者の詳細は明らかになっていない。捜査当局の話では容疑者は事件当時「アラー・アクバル(神は偉大なり)」と叫んでいたという。市内中心部にある教会の周囲は特別警戒地区に指定されていた。マクロン大統領が28日夜に発表した再度の全土ロックダウン(都市封鎖)のための会合に参加していたカステックス仏首相は急遽(きゅうきょ)、事件の緊急対策会議に参加した。
10月16日にパリ郊外で歴史教師、サミュエル・パティさんが殺害されて以来、テロ対策当局はテロの脅威が高まっているとして警戒を強めていた矢先だった。9月にもパリでは、イスラム過激派に2015年に襲撃された風刺週刊紙、シャルリエブド旧本社ビル前で襲撃テロが起き、2人が死亡しており、警察当局は「フランスは絶え間ないテロの高い脅威の標的となっている」という声明を関係部局に送っていた。
5年前に起きたイスラム過激派によるシャルリエブド襲撃テロの裁判中であり、イスラム過激派のアルカイダ系組織がフランスへの攻撃を呼び掛けているとの情報もある。殺害されたパティさんは、イスラム教が禁じる預言者ムハンマドの風刺画を中学の授業中に見せ、マクロン大統領が表現の自由の殉教者と讃(たた)えたことから、イスラム圏で強い反発が起きている。