フランスの製薬大手幹部が米国優先発言
クチン使用権めぐり騒ぎ
フランスの製薬大手、サノフィのポール・ハドソン最高経営責任者(CEO)が13日の米ブルームバーグニュースとのインタビューで、同社の新型コロナウイルスのワクチン開発が成功した場合、研究に最初に資金を投じた米国が優先的に使うことになると発言し、騒ぎになっている。
サノフィのウェインバーグ常務取締役は14日、米国に優先的にワクチンを渡すという意図ではなかったと説明、火消しに追われた。フィリップ仏首相は直ちに「平等であるべきだ。議論の余地はない」と非難した。
パリ大学の製薬業界の専門家、ナタリークティネット教授は「ワクチン開発は非常にリスクを伴う投資。米国がリスクを冒してサノフィ社に投資した以上、ワクチンの使用権があるという理屈も理解できる」と述べている。実際、米国はフランスやドイツの製薬会社にワクチン開発で巨額の投資を行っている。
新型コロナのワクチン開発プロジェクトは、北米が世界全体の46%、アジアが36%、欧州が18%と言われている。巨大市場となり得るプロジェクトだけに競争は激しい。ワクチン開発を急ぐ世界の数十社の中でも、サノフィは上位に入る大手メーカー。感染症のワクチン開発で世界的に知られるパスツール研究所を抱えるフランスも政府を挙げてプロジェクトを後押しする構えだ。
(パリ 安倍雅信)