特別寄稿 ウズベキスタンのミルジヨーエフ大統領訪日に寄せて


ウズベキスタン共和国副首相 アジズ・アブドゥハキモフ

 ウズベキスタンのシャフカット・ミルジヨーエフ大統領が17日から日本を公式訪問するに際し、同国のアジズ・アブドゥハキモフ副首相(観光、教育、文化、社会担当)が、世界日報に「日本とウズベキスタン:両国の調和」と題する一文を寄せた。同副首相は一橋大学に留学した経験を持つ政権きっての改革派であり親日家である。

ウズベキスタンと日本 戦略的関係の発展期待
歴史的背景と国民性の近似を基に

 ウズベキスタンと日本は特別な歴史的背景があります。日本はウズベキスタンの戦略的パートナーであり、独立後、日本はウズベキスタンの経済、社会の発展に多大な支援を提供したことは注目に値します。

アジズ・アブドゥハキモフ

 

 政府開発援助(ODA)の規模という点では、日本はウズベキスタンの最大の投資国です。現在、両国の関係は発展しており、大統領の訪問は、関係の新しいページになると考えられています。

 ウズベキスタンと日本には非常に深い歴史的つながりがあり、その証拠は日本の有名な科学者であり考古学者である加藤九祚氏よって50年間研究されてきました。ウズベキスタンの南で、彼はウズベキスタンの科学者と共に考古学的な発掘調査を行い、重要な発見の基盤を作りました。特に、彼は古代クシャン朝のダルベルジンテパの首都を発見し、また日本における仏教の出現についての新しい仮説を立てました。日本人にとって、ウズベキスタンの地は仏教の起源の一つとしてふさわしいのです。

 文化的には、日本人とウズベク人の国民的性格と精神性の近さにも注目したいと思います。私たちには多くの共通の特徴があります。国の伝統への敬意、個人の利益よりも公共の利益を優先する能力です。ウズベキスタンにおけるマハラ(町内会)は、一緒に決断をする日本人に非常に近いコミュニティーです。

ミルジヨーエフ大統領

17日に来日するミルジヨーエフ大統領

 私たちは忍耐によって、骨の折れる仕事をすることができます。これは、私たちがこれらの資質のおかげで途方もない経済成長を達成する大きな見通しがあることを示唆しています。

 第2次世界大戦後、多くの日本人兵がウズベキスタンの地に抑留されましたが、ウズベキスタンでは決して捕虜と見なさなかったことは、私たちの関係で最も感動的な話です。彼らは私たちのゲストであり、ウズベキスタンの人々は常に彼らを尊敬していました。旧ソビエト軍に捕らえられた日本人は、ウズベキスタンに重要な印を残しました。特に、ウズベキスタンの労働者と共に、彼らは多数の建物を建設しました。その中で最も有名なのはアリシェル・ナヴォイ劇場です。

 帰国できず亡くなられた日本人のお墓をウズベキスタン人は世話しました。物語は悲劇的ですが、ウズベキスタンの人々が日本と日本人と、どのように関係しているのかを表しています。

 日本とウズベキスタンの歴史的な結び付きは、戦略的関係によって深めることができ、そうすべきだと思います。日本の現在の状況では、経済を日本経済の特性とマッチした国と関係を持たせることが重要です。ウズベキスタンはかなり若い国で、人口の60%が30歳未満です。つまり、この国には豊富な労働力があります。また、もう一つの特徴である教育レベルの高さにも注目していただきたい。ウズベキスタンには、ウェストミンスター国際大学(イギリス)ほか100を超える大学があります。フランス、ドイツ、トルコの主要大学の支部を開設する交渉が進行中です。また、名古屋大学、筑波大学、慶應義塾大学、岡山大学などが中心となる大学コンソーシアム(共同事業体)との合同大学を開設する予定です。

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フェルガナ地方の古都コーカンドのフェスティバル

 私たちは、両国間に良好な労働力交流を確立することができました。日本が近年直面している人口統計上の問題(少子高齢化による労働力不足)のために、ウズベキスタンの豊富な労働資源が必要です。

 ウズベキスタンには大きなビジネスチャンスがあり、金、ウラン、ガス、非鉄金属(ジルコニウム、タングステン、モリブデン、クロム、銅、鉛)などの天然資源があり、世界最大の綿花生産国の一つです。

 先ほど申し上げたように、日本はODAの分野でウズベキスタンへのドナーです。同時に、日本の中小企業による投資はまだ多くありません。投資の活性化により、ウズベキスタンは急速な経済成長を遂げることができると思います。ウズベキスタンは、他のすべての中央アジア諸国と国境を接し、近代に甦(よみがえ)るシルクロードの最も重要な通過国の一つであり、中央アジアにおける戦略的国家と言えます。この地域において日本が経済的・政治的存在を確保することは重要であり、ウズベキスタンは日本にとって最も重要で主要なパートナーになる準備ができていると思います。

 また、日本は、経済だけでなく社会面でもウズベキスタンを支援することができます。それは日本の医療技術、現代の教育システム、障害者や高齢者への社会サービス提供の経験です。これらはすべてウズベキスタンにとって非常に興味深いものであり、ウズベキスタンと日本の合同大学の設立、日本の有力な医療機関との魅力と協力の確立、そしてウズベキスタンが社会的分野をより生産的に発展させるのに役立つ有力大学での専門家の訓練が期待されています。

 大統領の訪日が両国関係の新たな出発点になることを期待します。