フィンランドのリンネ首相が辞任
ストめぐり政治不信招く
フィンランドのリンネ首相は3日、ニーニスト大統領に辞表を提出して辞任し、これに伴い内閣は総辞職となった。中道左派の5党連立政権は新たな内閣を形成することになり、それまでは暫定政府として現内閣が継続することとなる。
首相辞任・内閣総辞職となった経緯は、国営郵便企業ポスティの一部の労働者に対して賃金の低い契約に移行することを政府が決定、それに反発した労働組合が11月に2週間にわたるストを行い、フィンランド航空など他の労組も支援ストを行った混乱によるものだ。
特に問題となったのは、議会で国営企業も監督するパーテロ地方自治相が一部の労働者の低賃金契約への移行を知っていたのにもかかわらず、それを否定し、また、リンネ首相も知っていたのにもかかわらず、曖昧な答弁を繰り返したことだ。
首相と地方自治相は社民党に所属し、他の連立与党から首相らに対する不信感が広がった。とどめは中央党が首相の手腕を疑い、リンネ首相が辞任しなければ連立離脱も辞さないと2日に表明したことだ。
議会では内閣不信任決議案の採決に向けた動きもあり、政権に対する不信任票が多数となった場合、新たな選挙となる可能性も大きく、そうなれば、社民党は議席を失う可能性が高いことから、最悪の事態を避けるためにリンネ首相の辞任となったとみられている。次期首相は社民党から選出される見通しだ。
(ヘルシンキ 吉住哲男)