G20大阪サミット開幕、「大阪トラック」開始宣言


初日、貿易問題で協議

 20カ国・地域首脳会議(G20サミット)が28日、大阪市で開幕した。主要20カ国と17の招待国・国際機関が参加し、2日間にわたって経済分野をはじめとする世界規模の課題を扱う。初日となった28日は、世界経済、貿易・投資、イノベーションについて協議。各国はG20による世界経済の成長促進を確認し、世界貿易機関(WTO)改革の必要性で一致した。また、デジタル経済におけるルールづくりの枠組み「大阪トラック」の開始を宣言した。

G20大阪サミット・セッション1ワーキングランチ

G20大阪サミット・セッション1ワーキングランチ。ワーキングランチに臨む各国首脳=28日午後、大阪市住之江区(代表撮影)

 首相は冒頭で、米中貿易摩擦やイラン周辺情勢の悪化などを念頭に、世界経済における下振れリスクの大きさを指摘。「下方リスクに対処し、必要な行動をとるのがG20の責務だ」と強調した。また「貿易制限措置の応酬はどの国の利益にもならない」と述べ、自由で公正な貿易体制を推進する姿勢を改めて示した。

 セッションでは、米中貿易摩擦など世界貿易の緊張状態や、不公正な貿易慣行、過度な産業補助金への懸念のほか、保護主義と戦うことの重要性を指摘する声が上がり、参加各国の立場の違いが浮き彫りになった。WTO改革の必要性については認識を共有したものの、改革の具体的内容については、各国で重視する点が異なる。全会一致での首脳宣言の採択に向け、議長国としての手腕が問われることになる。

 また首相は関連イベントで、デジタル経済に関するルールづくりを議論する枠組み「大阪トラック」の開始を宣言した。国際社会における議題としてG20首脳レベルで扱うことで、WTOにおける議論を後押ししたい考え。来年6月に行われる第12回WTO閣僚会議までに「実質的な進捗」の達成を目指す。

 最終日となる29日は環境問題などが扱われる。首脳宣言では昨年に続き「反保護主義」の文言を避ける見通しで、米国を取り込みつつ自由貿易の維持・推進に向けた共通認識を打ち出せるかが焦点になる。また午前中には米中首脳会談が予定されており、緊張状態が緩和へ向かうのか、世界的な注目が集まっている。

(G20大阪サミット取材班)