都議選「圧勝」、小池都政の真価が問われる


 東京都議選は小池百合子都知事が率いる「都民ファーストの会」が圧勝し、「小池与党」が都議会の多数を制した。

 小池都政の真価がいよいよ問われる。

 チェック機能果たせるか

 地方自治は二元代表制だ。執行機関である知事に対して議決機関の議会は、知事の施策や行政運営を監視する機能を担っている。お互いが牽制(けんせい)し、緊張感を持った関係にならないと地方自治はうまく機能しない。

 今回の都議選では「議会改革」が争点とされた。小池知事は自民党主導の都議会が豊洲市場整備費を膨張させたとし、議会が本来のチェック機能を果たしてこなかったと主張した。同じ課題は今後、小池与党にも突き付けられる。

 知事が党首で、にわか作りの「素人集団」と批判された都民ファーストがチェック機能を果たせるのか。公約では「東京大改革は都議会改革から」(小池知事)とし、政務活動費による飲食禁止や議員公用車の廃止などを掲げたが、いずれも議会内の話だ。議員提案の条例づくりに取り組む公約も、知事主導では議会が執行機関の「イエスマン」になりかねない。

 前知事時代まで与党の座にあった公明党は、小池氏の論理に従えば、自民党と“同罪”のはずだが、今度は“変身”するのか。都民は投票だけでよしとせず、知事と議会の在り方を見守る必要がある。

 豊洲問題では、小池知事は豊洲移転・築地再開発の両立案を打ち出したが、財源や具体案は一切示していない。豊洲整備費のうち借金として残る約3600億円の返済財源も不透明なままだ。

 2020年東京五輪・パラリンピックへの取り組みも迷走した。経費が膨張したとして競技場変更を模索したが、結局、当初計画に戻った。経費の絞り込みに一定の成果を上げたものの、周辺県知事から「決められない知事」と批判された。

 いずれにしても、これからが小池都政の正念場だ。都政をめぐる課題は山積している。例えば「2025年問題」が挙げられる。「団塊の世代」が75歳以上になり、後期高齢者が2200万人を超えて「介護難民」が溢(あふ)れかねない。

 また待機児童は8000人を超えており、子育て支援も待ったなしだ。さらに、いつ起きても不思議ではない首都直下地震にどう備えるのか。木造住宅密集(木密)地域の耐震化などに不安を残している。

 一方、自民党は歴史的大敗を喫した。加計学園問題の説明不足や稲田朋美防衛相の失言などで自ら支持率を下げた「自滅」だった。安倍政権は再構築を迫られる。憲法改正を目指すのであれば、小池知事の協力が欠かせないはずだ。東京五輪を成功させるためにも小池都政との関係修復が大きな課題となる。

 否定された「民共路線」

 民進党と共産党は政権批判票の受け皿にならないことを改めて示した。

 「民共路線」は否定されたと言ってよい。とりわけ民進党は厳しい審判を受けた。与野党とも「体制立て直し」を問われている。