クリスマスの粋な計らいーオーストリアから
地球だより
本来ならば、クリスマス市場が開かれ、訪れる人で賑(にぎ)わうシーズンだ。しかし、今年は全てがうまくいかない。欧州最大規模のウィーン市庁舎前広場のクリスマス市場も来月6日まで続く第2次ロックダウン(都市封鎖)の外出制限が解けるまで本格的な営業はできない。
クリスマスを前に、厄介な問題が出てきた。第2次ロックダウンの最終日は12月6日だ。その日は「聖ニコラウスの日」の日。聖ニコラウスは3、4世紀の小アジアの聖職者ニコラウス司教で、サンタクロースのモデルとなったといわれている人物だ。オランダでは聖ニコラウスの命日を「シンタクラース祭」と呼ぶ。米国に移住したオランダ人が17世紀、「サンタクロース」として伝え、今日に至っているという(サンタクロースの起源についてはさまざまな説がある)。
その「聖ニコラウスの日」に衣装を着けた男性が家々を訪ね、子供たちに小さな贈物をする慣習(聖ニコロ祭)があるが、今年の「聖ニコラウスの日」はまだコロナ規制下にある。
聖ニコラウスやサンタクロースはイエスの生誕とは関係がないから、子供たちに「聖ニコラウスもサンタも架空の人物だ」といって説得することは酷だろう。そこで「聖ニコラウスをコロナの規制対象外にすればどうか」という意見が出てきた。聖ニコラウスは子供と接触することなく、垣根越しから子供たちにウインクし、プレゼントを庭先に置いていけば接触しなくて済む。幸い、クルツ政権は聖ニコラ祭はコロナ規制の例外とした。
(O)