冊子「しあわせへの道」配布運動
「より良い人生のためのヒント」
「しあわせへの道」日本支部代表 中村 敦氏に聞く
東京の街で、「しあわせへの道」という冊子を配布している若者たちを見かけた。聞けば、世界170以上の国・地域で配布され、中でもコロンビアでは犯罪の半減に貢献したという。「しあわせへの道」日本支部代表の中村敦さんに、その活動について聞いた。
(聞き手=森田清策・編集委員)
自尊心回復し信頼取り戻す/徳についての21項目提案
コロンビアで1500万人に配布/犯罪の半減に貢献
「しあわせへの道」は、どういうものですか。

なかむら・あつし 1955年4月、名古屋市生まれ。現在、中国現地の人材を日本企業へスカウトする仕事をしながら、「しあわせへの道」の普及活動を行っている。冊子には「乱れた性生活を送ってはいけません」「両親を敬い助けましょう」など21項目が並ぶ。インタビューに出てきた「世界幸福度調査」は何種類かある中の一つで、コロンビアでは幸福を感じている人が多いことから、トップになったようだ。中村さんは「将来は、世界平和のキーである中国の人々にもこの本を普及したい」と語る。
「より良い人生のためのヒント」と理解していただいていいと思います。もっと言えば、「人としての『徳』はこういうことじゃないですか?」という提案をしてくれている本。その提案は、受け入れるのも受け入れないのも自分の判断に委ねられていて、その意味では、道徳とは少し趣が違います。
「サイエントロジー教会」を創始したL・ロンハバードさん(米国人、故人)は人々の自尊心を回復し良識レベルの低下を食い止め、社会に誠実さと信頼を取り戻すことを願って、1981年にこの本を書きました。この本には、宗教的な信条を含まない「21の項目」が示されていて、宗教色のない最も多くの言語に翻訳された本として、ギネス記録を保持しています。
「しあわせへの道」財団の国際本部は、米国ロサンゼルス近郊の街グレンデールにあり、世界各国に支部があります。日本もそのうちの一つで、約5年前に活動を開始しました。宗教色を含んでいないため、どんな宗教を信仰されている方でも、読んでいただける本です。
日本では、どのような活動を行っていますか。
東京を中心に街頭で本の配布を続けてきました。その総数は、約3万5千冊になります。また、小学校への紹介、講演、DVDの上映やこの本に助けられた経験をお持ちの方にお話しをしていただくという「しあわせへの道」イベントの開催も定期的に行ってきました。
この活動は、私たちの宗教的、政治的立場を主張したり見解を述べたりすることではなく、単に、この本を読んだ人に「より良い人生」を手に入れてもらうために行っています。その結果は、社会の安定と平穏につながっていくと思います。
南米のコロンビアでは、警察がこの冊子を積極的に使っているそうですね。
「しあわせへの道」は、現在170を超える国や地域で配布されていて、その中で、「奇跡」ともいわれる劇的な変化を生み出し、その安定と平穏に大きく貢献した地域があります。その一つ南米のコロンビアをご紹介します。
2004年、国連は南米コロンビアの内紛に関して「人道的危機」と宣言しました。また、日本政府は、「最も危険な渡航先」として旅行者に注意を促したほどでした。
当財団国際本部はサイエントロジー教会と共に、コロンビア警察に働き掛け彼らに協力しながら、8年間で約1500万人に「しあわせへの道」を配布し、300万人にセミナーを提供しました。
その結果、12年には犯罪件数が04年に比べて50%減少し、16年の「世界幸福度調査ランキング」では、コロンビアが幸福度世界1位になりました。
さらに同年、52年間続いた内戦は、政府と反政府勢力(コロンビア革命軍)が平和条約に調印したことによって終結。コロンビアのサントス大統領は、ノーベル平和賞を受賞しました。
その他の国での反応は。
米国セントルイスは、犯罪の多発によって米国で最も危険な都市の一つになっていました。そこで、現地の「しあわせへの道」チームは、市の教育委員会に本を紹介し、ミズーリ州の全8千校以上で「しあわせへの道」授業が行われました。その結果、若者の犯罪率が60%減少しました。現在、現地チームは、地元のキリスト教会とタッグを組み、街全体に「しあわせへの道」を普及しています。
フィリピンでは16年、陸軍によって「しあわせへの道」プログラムが国家レベルで開始されました。今後、400万冊以上が国民に手渡されます。
この冊子の配布がどうして効果を発揮するのでしょうか。
この本に収められた「21のヒント」を人生の指針にした人々が、良識ある自分自身を取り戻してより良い人生を歩み始めるとき、人は自分自身への信頼と自分を好ましく思う気持ちを取り戻していくのだろうと思います。
私自身も、この活動を始めてから、次第に、自然に、「こうしなければならない」と思うことなく、自分を尊いものだと思えるようになりました。そして、そう思える分、他人を尊いと感じるようになったのです。その思いが、穏やかで信頼感のある社会の土台だということでしょう。
これからの活動の抱負は。
私たちは、先にご紹介した日本での活動を継続しながら、この本が起こす社会的変化を日本でも検証するプロジェクトを始めようとしています。ある地域にこの本を短期間で大量に配布し、そのエリアでセミナーを開催しDVDを上映したとき、何が起こるのかを観察します。それは、日本においてこの本がどのように有効なのかを示してくれると思っています。
今、日本や世界を見渡せば、さまざまな問題が起こっています。物質的な解決策が幸福をもたらしてくれると信じられた時代もあったかもしれませんが、それらを手に入れた人々は、物質的な豊かさが、さらなる「欲求」を生み出す始まりだったと気付いているかもしれません。
今ほど、人間にとって、精神的な支えや宗教が必要とされている時代はありません。しかし、その役目を果たすべき宗教や精神の修養者が、残虐行為や紛争、犯罪に手を染めて、世界に混乱をもたらしている一面は残念なことです。
現代の宗教組織や精神的な修養活動は、力を合わせて世界に平和と繁栄をもたらすために行動すべき時です。宗教色を含まないこの本は、その手段として誰の手からもほかの大勢の人の手に渡し伝えることができる本に違いありません。もし、それが実現したなら、多くの人々の「合意」された活動によって、平和は勝ち得ることができると思います。







