コロナ禍で「顔」が大事に
顔は脳の看板
嘉祥流観相学会大導師 岡井 浄幸さんに聞く
新型コロナウイルス感染症の拡大防止をしながら暮らす「新しい生活」が求められ、ITを活用したリモートワークが広まる中、自分の「顔」に対する関心が高まっているという。そこで、顔相診断などでテレビでも活躍している嘉祥流観相学会大導師の岡井浄幸さんに話を伺った。
(聞き手=フリージャーナリスト・多田則明)
笑顔で自己免疫力向上
人を見た目で選ぶのは正しい
最近、顔への関心が高まっているようです。

おかい・じょうこう 香川県小豆島出身。観相学は占いの一つと思われがちだが、創始者の藤木相元は達磨大師の研究のかたわら、東工大で脳科学を学び、松下中央研究所などで新製品開発に当たった技術者で、かつてタモリの「笑っていいとも」に出演し、人気を博した。岡井さんも仕事の始まりは明治乳業中央研究所。顔と脳の科学から、21世紀の観相学が生まれた。
そうなんです。テレワークでモニターに自分の顔が映るようになると、顔に対する関心が高くなり、自分がどのように見られているのかを気にする人が増えて参りました。特に男性は、モニターに映るご自身の顔をより「いい顔」にしようと、スキンケア商品や化粧品を買う人が増えています。女性も鏡で見る顔とモニターに映る顔はどこか違うので、モニター向けの明るいメークをする方が増えました。
顔と仕事は関係ないという人もいますが。
それは間違いです。とりわけ営業や接客業など対面での仕事では、顔から受ける印象は大いに影響します。なにしろ、人は第一印象の7割は顔で判断していますから。顔を見るポイントが分かれば、相手の性格や心の動きを的確に判断し上手なコミュニケーションができます。
人に与える顔の印象は、生まれながらのものだけではありません。ご自身の生き方や環境や考え方で顔は変化していくものですので、暗い印象の方も明るい考え方をし、明るいメークをすれば、自己肯定感も高まり好印象の顔に変わります。
考え方を変えれば顔が変わるのですか。
「人生は運が支配する、運は顔が支配する、顔は脳が支配する」というのが嘉祥流観相学の神髄です。考えていることはそのまま顔に表れるので、顔は脳の看板と言えます。
脳と顔との因果関係により、お顔を変えることにより脳、つまり考え方を変えることもできるのです。悲しいことがあっても、そういう時こそ笑顔をつくると自律神経に働き掛けて自己免疫力が上がります。
「40を過ぎたら自分の顔に責任を持て」という言葉もあります。
リンカーン大統領の言葉ですね。彼は大臣などの人事を顔を見て決めたそうです。その前に「男は~」と付きますが、女性は特に第一印象で感じる男性を見る目は正しく、男性も結婚相手を選ぶ一番の決め手はやはり相手の顔でしょう。
先生の著書に『男は見かけで選びなさい』があります。
女性は本能的に「いい男」を選ぶので「見た目だけで選ぶ」は正しいのです。男性の皆さんは女性たちにどう見られているかを意識すると顔に変化が現れ、必ず良くなりますよ。
観相学は人相占いとは違うのですか。
嘉祥流観相学は占いではありません。観相学の始祖は5世紀末、中国に大乗仏教を伝えたインド僧で中国禅の開祖・達磨(だるま)大師で、目的は人々の救済にあります。それが、三論宗の嘉祥大師(吉蔵)に伝わり、私の師・故藤木相元(そうげん)導主が脳科学や心理学など科学的方程式で裏付けして完成させたものです。お顔を拝見するだけで、顔と脳と運の因果関係を読み解き、性格や運命を割り出し、どんなメークや考え方をすればよいかをアドバイスさせていただくものなのです。
以前、フジテレビの人気番組「スマスマ」で、木村拓哉さんはじめスマップ全員の顔占いをしましたね。
スマスマの初出演で鑑定させていただいたのは、阿部寛さん、北村一輝さん、宍戸開さん、市村正親さんの濃い顔4人シリーズでした。私は超緊張して真面目にお話ししていたのですが、中居さんに面白いツッコミで盛り上げていただき感謝でした。
『眉を変えるだけで運命が変えられる』という著書は。
人生の荒波を経て縁あって藤木先生に出会い、初めて私に頂いたアドバイスが「眉が邪魔しています」でした。先生がアイブロウペンで眉を描き直してくださった顔を鏡で見て驚きました。たった眉一つの変化で、そこには全く違う自分がいるのですから。
それまではしっかりした上昇気味の「剣眉」で、どちらかというときつい顔でした。先生が描いてくださったのは、アールのついた女性には理想的な「三日月眉」だったのです。
それを見た瞬間、肩の力が抜けるような安堵(あんど)感を覚え、そんなに頑張らなくてもいいと、自分をいとおしむ気持ちになりました。過去にこだわることなく不思議なくらい落ち着き、いい運が巡ってくるようになったのです。「スマスマ」への出演も、藤木先生が体調を崩されて、急遽(きゅうきょ)代わりに出させていただいたのがきっかけです。1カ月余り後に藤木先生が他界され、先生のお仕事を継がせていただきました。
マスク姿で目や眉に関心が高まっています。
「目は口ほどにものを言い」「目は心の窓」と言われるように、目はその時の心の状態を表しています。その目と同じ心を瞬時に表すのが眉ですから、自分を自己演出できる眉を描いてほしいですね。最近は眉の薄い男性が増えており、男性もアイブロウペンで描くと顔に力が湧き気分も若返りますよ。
考え方は生き方です。
「朝の太陽を食べる」「毎朝鏡の中の自分に笑い掛ける」など日々の規則正しい生活習慣は自律神経を整え朝の体内時計のリセットを促し、その日の自分を整えてくれて、今日も頑張ろうという気持ちになります。
先生が生まれた小豆島には弘法大師ゆかりの八十八箇所霊場があります。
四国八十八箇所は総延長1400キロで、歩くと約40日かかりますが、小豆島は145キロで、7日で巡れます。四国遍路が年間約20万人に対して小豆島は3万人とかなり多いです。そんな風土で生まれ育ち、禅が生まれるきっかけの観相学に出合ったことが、高野山での得度につながったのかもしれません。