コロナ「自宅療養」、コールセンター拡充が急務


 新型コロナウイルスの新規感染者が東京では5000人を超え、全国でも1万5000人を上回った。きょうから福島、愛知、熊本など8県が、まん延防止等重点措置の適用地域に追加される。感染「第5波」が到来する中、医療資源を有効に使って国民の命を守っていきたい。

 中等症以上は原則入院

 政府は新規感染者の急増に対処するため、感染拡大地域では重症化リスクの低い患者を原則自宅療養とすると発表した。一定程度病床を確保する必要があると考えたためだが、与党からは「中等症の患者の入院制限につながる」との懸念から撤回要求が出た。これに対し、菅義偉首相は「全国一律ではない」と説明。「丁寧に説明して理解してもらう」と語った。

 一方、田村憲久厚生労働相は「中等症は原則入院」と明言。修正資料には「入院は重症患者、中等症患者で酸素投与が必要な者、投与が必要でなくても重症化リスクがある者に重点化」と詳細に書き込まれた。呼吸困難の患者に自宅で酸素投与するなど難しいことであり、中等症の原則入院は当然である。

 自宅療養をめぐる政府・与党の混乱は、政府の説明不足によるところが大きい。一方で国民の間には、軽症や中等症でも容態が急変し、一気に重症化したり、死に至ったりするケースがあることへの恐れが強いことを示した。大阪府では、今春の「第4波」で自宅で死亡する人が相次いだ。

 感染拡大の初期段階では、感染者は基本的に宿泊施設で療養する方針が取られた。しかし、東京都の宿泊療養用には約6000室あるものの利用率は3割にとどまり、自宅療養者は1万4000人に上る。

 宿泊施設が十分利用されていない背景には、第一に常駐する医師や看護師が足りないことがある。しかし限られた医療人材の活用という点では、宿泊療養への投入が効率的なはずだ。

 自宅療養は家族が感染するリスクもある。一人暮らしの場合は、容態が急変した時の迅速な対応が難しくなる。家庭内での自主隔離が難しい場合や一人暮らしの高齢者などは、自治体、保健所などが宿泊療養を強く働き掛けるべきである。だが外部との接触や行動が制限される宿泊療養の実態が知られるようになり、軽症者の場合、施設に入ることを嫌う傾向がある。

 自宅療養者は今後も増加が予想される。多くは2週間程度で回復してPCR検査で陰性が確認され、社会活動を再開するケースが多いが、容態が急変するケースもある。感染者へのケアの拡充が急務だ。

 役割は極めて大きい

 東京都は地域の医師会と協力し往診を拡充するほか、健康相談に応じる都のコールセンターを増員する。新型コロナは風邪やインフルエンザとは違って、これまで経験したことのない症状が出やすい。そのため、軽症者でも心理的な不安は大きいものがある。

 容態悪化の兆候を捉えることはもちろん、心理的な面でもコールセンターの果たす役割は極めて大きい。感染が急拡大する自治体ではコールセンターの拡充を急いでほしい。