ワクチン接種 高齢者7月末完了へ総力を


 米モデルナ社と英アストラゼネカ社の新型コロナウイルスワクチンが厚生労働省によって承認された。24日からは東京都と大阪府で自衛隊による高齢者対象の大規模接種が始まる。新型コロナ対策の切り札となるワクチン接種にいよいよ拍車が掛かってきた。政府、地方自治体さらに民間の力を結集して接種を加速させていきたい。

 対象者数以上を確保へ

 モデルナ製は18歳以上に無料で接種可能となるが、アストラ製についてはごくまれに血栓が生じる事例が海外で報告されているため、当面接種を見合わせる。妥当な判断と言えよう。血栓は若い人により出やすいとの報告もあるが、年齢制限など有効利用の道を探る必要がある。

 既に接種が行われているファイザー製は7200万人分に2500万人分の追加供給が決まっている。モデルナ製の2500万人分を合わせ、16歳以上の接種対象者約1億1000万人分を上回る量のワクチン確保のめどが立った意義は大きい。

 あとはいかに速やかに接種を進めていくかだ。それを強く推進するのが、自衛隊が運営し、24日から東京都、大阪府で開始される大規模接種だ。自衛官で医師資格を持つ「医官」や看護師資格がある「看護官」が、東京では1日当たり最大1万人、大阪では5000人の接種を行う。両会場では承認されたばかりのモデルナ製が使用される。

 実施を前に東京と大阪の会場では入念なリハーサルが実施された。東京のセンター長が「隊員は士気が高く、安心して受けられる準備が整っている」と強調しているのは大変心強い。

 大規模接種は埼玉、千葉、神奈川、京都、兵庫の各府県に拡大する。特に緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の対象となっている地域ではできるだけ早い実施が望まれる。

 今後の課題としてはワクチンの打ち手の不足がある。しかし、既に訓練を受けた歯科医師の接種も行われている。河野太郎規制改革担当相は、緊急時の特例として薬剤師も打てるようにすることを検討すると明言しているが、可能になるよう速やかに進めるべきだ。

 英国などではボランティアによる接種なども行われている。新型コロナとの戦いは時間との戦いだ。前例や手続き上の問題にばかりこだわっているのは愚の骨頂である。

 菅義偉首相は、7月末までに高齢者の接種を完了すると明言した。今のままでは、それが困難とみられる自治体もあるが、政府の支援、自治体間の連携でこの目標を達成してほしい。

 新型コロナの制圧は高齢者のワクチン接種で事足りるわけではない。感染拡大は若い世代で多い。対象となる全世代への接種をできるだけ早く完了させることが不可欠であり、経済社会活動の十全な再開の鍵を握る。

 若い人は思い込み捨てよ

 民間のアンケート調査を見ると、若い世代は接種をすぐに希望する人が2割程度にとどまっている。ワクチンへの抵抗というより、自分たちは重症化しないという思い込みがあると思われる。ワクチン接種が自分だけでなく、家族や社会を守ることをもっと知るべきだ。