「立憲民主」の草の根主義 根付く労組的平等体質
不況時にウケた格差問題
立憲民主党の機関紙「立憲民主」(月刊)は、今月で13巻目になるが、主に「多様性を誇りに、分かち合うことを力に、支えあうことを安心に」(4・19号)などの言い方で「まっとうな政治」を訴える。安倍政権やアベノミクスへの底意はともかく、他にも「ボトムアップ」や「お互いさま」といった言葉を多用する。
その意味するところは労働組合の精神だ。平等、公平…「お互いさまの支えあい」も言い換えれば「団結」。企業は社員に愛社精神や経営方針を説くが、労組はやたらと経営側に与(くみ)さない。
同じように同党も国より草の根の人目線に立つ。「立憲民主」でよく扱われているのは、女性や子供、高齢者介護、貧困、格差をめぐる政策だ。
また、同党は「立憲パートナーズ制度」を立ち上げた。党員やサポーターではなく党や政治家と対等なパートナーだという。これも職場によっては社員もアルバイトも対等な「パートナー」と呼ぶのと似ている。
同号では枝野幸男代表の街頭演説から、個人消費の伸び悩みを指摘し、その原因として「若者の貧困問題や高齢者の年金や医療・介護といった社会保障に対する不安を挙げ、『教育、医療、介護の安心を作ることが一番の景気対策…心配をせず暮らせるようになれば、個人消費は伸びる』と主張」した。
同紙3・15号は「格差社会」をテーマに、立憲パートナーズを対象としたウェブアンケートについて。「自助努力では改善できない格差はある」と、困窮した人々の生声を集めている。
十八番の「貧困、格差」には、民主党時代の成功体験がある。2008年の完全失業率4%、有効求人倍率0・88倍。09年同5・1%、同0・47倍、この年に民主党は政権を取った。
が、今や状況が違う。安倍長期政権の下で、17年同2・7%、同1・54倍、18年同2・4%、同1・61倍。貧困・格差問題は存在するが、それだけで支持率は伸びない。立憲民主党は就職氷河期、年越し派遣村、大不況の再現を待つのだろうか。ただ、多くの有権者はそれを望んでいない。
編集委員 窪田 伸雄