「立憲民主」の憲法論議 「権力」縛りで論議封殺か
首相は民意得た多数党党首
立憲民主党の機関紙「立憲民主」(11・16)は臨時国会にあたり「『憲法の本質は、国家権力を縛ること』と枝野代表」の見出しで、枝野幸男代表の代表質問を1面で扱った。
枝野氏の「憲法を改定することがあるとすれば、国民がその必要性を感じ、議論し、提案する。草の根からの民主主義のプロセスを踏まえて進められるべきであり、縛られる側の中心にいる総理大臣が先頭に立って旗を振るのは論外だ」という主張は、首相が9条への自衛隊明記を提案した経緯から9条改憲反対の一環と言えるだろう。
確かに、5月3日の憲法記念日などで憲法改正に反対するデモや集会は毎年マスコミにも取り上げられるが、それだけが「草の根民主主義」ではない。
首相は党首の顔も持つ。自民党は結党以来の改憲政党であり、衆参の国政選挙で公約し、改憲案も示している。首相は自民党総裁選でも公約した。むしろ、民主主義のプロセスを踏まえて多数党となった党首でもある首相が国会に憲法審査会での議論を促す発言は、民意の反映である。かつて閣僚が改憲に言及すると更迭されたが、「権力を縛る」理屈で改憲論議を封殺するのはいただけない。
2009年に衆院選で大勝し政権を取った民主党は、「現行憲法に足らざる点があれば補い、改めるべき点があれば改めることを国民の皆さんに責任を持って提案」するとし、立憲民主党よりは前向きだった。
立憲民主党も「国民にとって真に必要な改定」ならば議論・検討する立場だが、論議の俎上(そじょう)に載せるのはLGBTの同性婚をめぐる24条。政党によって「国民にとって真に必要」なことの尺度がだいぶ違う。
本来、野党第1党なら改憲で自民党と膝をつき合わせて国家像を描くぐらいでなければならない。このままでは共産党同様に冷戦時代に逆戻りしたようで話し合いにならない。だから対決法案がスルリスルリと通過するのだ。
編集委員 窪田 伸雄










