「赤旗」に「統一地方選」 「いっせい」変えた共産党
革新統一より保守造反誘う
各党メディアに来年の統一地方選挙、参院通常選挙に向けた記事が目立ってきた。自民党機関紙「自由民主」(10・16)は、「統一地方選・参院選の勝利に全力」の見出しで「二階俊博幹事長に聞く」を載せ、公明新聞(10・1)は「公明、党大会で結束し出発/統一選、参院選断じて勝つ」と力がこもる。「国民民主プレス」(10・19)は、国民民主党公認・候補77人の一覧表が載った。
共産党の機関紙「しんぶん赤旗」は13~14日の第5回中央委員会総会を扱い、「大破たんした安倍政治終わらせ希望ある新しい政治つくろう/統一地方選・参院選勝利へ臨戦態勢を」(14日付)、「情勢の潮目の歴史的変化のもと統一地方選・参院選に勝利しよう」(15日付)と報じた。
ここで変化したのは共産党。前回まで長らく「いっせい地方選挙」と呼んでいた統一地方選を、そのままにしている。今さら時流に合わせたとも思えない。
共産党が「いっせい地方選」と呼んだのは、社会党などと革新統一候補を擁立した地方選挙と区別したからだ。かつて保革対決に勝利する戦術で、1970年前後に革新自治体ブームを起こした。その区別をしなくなったということは、もはや勝算なき革新統一戦線はお蔵入りということだ。
別の見出しの「情勢の潮目の歴史的変化」は、主に沖縄県知事選での「オール沖縄」候補・玉城デニー氏当選を指し、5中総幹部会報告で志位氏は「保守・革新の垣根をこええて心一つにたたかった」と述べた。沖縄で共産党は、革新統一選挙方式より自民党沖縄県連幹事長まで務めた故翁長雄志前知事のような造反保守との共闘に手応えを得ている。玉城氏のいる自由党は保守でも代表・小沢一郎氏の造反劇の所産だ。
また5中総では国政野党含め地方ではオール与党となる構図を自公対共産党に変える方針を確認した。首長選では保守分裂が多い。共産党は“反安倍政治”を煽(あお)る争点を掲げ、うの目たかの目で共闘する保守を探すスカウトマンになるだろう。
編集委員 窪田 伸雄