野党共闘に「公明」警鐘 共産の統一戦線を解説

革命のため“政権参加”

 来年の政治決戦となる第25回参院選挙まで1年を切った。各党機関紙にも候補者一覧が載り、選挙準備が進んでいる。その中で、公明党の機関誌「公明」9月号は「野党共闘と統一戦線論―『革命』目的に繋げたい日本共産党の思惑」と題する論文(公明新聞記者・飯竹憲弘氏)を掲載した。

 冒頭、「2019年の参院選に向け、日本共産党は立憲民主党などとの『野党共闘』の実現に躍起となっている。共闘の焦点である参院選1人区の野党候補の一本化については、各党が『必要』との認識で一致しているように見えるが、どのように一本化するかは思惑が異なるようだ」と、野党選挙協力に注目した。

 共産党の思惑はタイトルの通り「革命」だ。共産党は結党以来、党綱領や基本文書に、革命に至るまでの順序を記して運動を進めている。同誌は、その「手段、基軸が『統一戦線』」で、選挙協力にも「議会制民主主義下では政権の実現こそ政党間の共闘の目標であろう。しかし、日本共産党にとって、政権樹立は重要視されるが、目標はあくまで革命の実現である。革命とは国家権力の掌握である」と警鐘を鳴らしている。

 ただ、共産党の政権参加は起きていないので、京都府、東京都、大阪府など過去の革新自治体が参考になると同誌は振り返った。

 1950~78年の7期28年に及ぶ社会党の蜷川虎三知事の京都府政では、共産党が執行部を掌握する府職労、京教祖、府医師会が支えた。元共産党員の兵本達吉氏の著書「日本共産党の戦後秘史」からの引用で、府庁の中に緻密に相互監視、密告・監視システムが張り巡らされ、異常な人事がなされるなど府職労を通じて共産党にコントロールされた例などを挙げた。

 また、共産党系組織に都合のよい予算のバラまきや、職員増加で、50年当時の府議会で社会党15議席、共産党1議席が、71年には社会党15議席、共産党12議席と共産党だけが急伸した。

 その後70年代後半に京都府、東京都、大阪府の革新自治体は次々と倒れたが、財政悪化など多くの問題を残している。今日の有権者が知るべき情報である。

編集委員 窪田 伸雄